書籍

『畜産市長の「口蹄疫」130日の闘い』橋田和実

口蹄疫対策のバイブル

悲鳴と怒号、そして決断へ。
伝えられなかった生々しい現場の声がここに

『畜産市長の「口蹄疫」130日の闘い』
宮崎県西都市長 橋田和実

四六、並製、256ページ+口絵カラー16ページ
定価:本体1,600円+税
ISBN978-4-86385-039-2 C0036 
2刷

 

畜産市長の異名を持つ宮崎県西都市の橋田和実市長が
口蹄疫という見えない敵と向き合った真実の記録。
獣医師や農家の人びとの肉声と
西都市版初動対策マニュアルを同時収録。

これは我が国史上まれにみる大災害であり、まさに「口蹄疫が蔓延すると国が滅ぶ」に繋がるものであった。忍び寄る恐怖、発生確認から爆発的な感染拡大、泥沼のようなワクチン接種と殺処分の日々。主力産業である畜産の崩壊を止められるのか。西都市の口蹄疫対策本部長(市長)として現地の指揮を執り、畜産農家との話し合い、国や県への要望と交渉、埋却用地交渉、そして殺処分埋却作業に携った市長にしか書けない克明な記録。口蹄疫が発生すると何が起きるのか?対処法は?今後の口蹄疫対策のバイブルとなる一冊。

2010年10月下旬全国書店にて発売。

【著者プロフィール】
橋田和実 (はしだ・かずみ)
昭和28年1月4日、宮崎県西都市に農家の長男として生まれる。
県立妻高等学校を経て宮崎大学農学部を卒業後、修士課程に進み、同大学大学院農学研究科を修了。昭和52年から4年間、大阪の民間会社に勤務の後、地元宮崎に戻り、(社)宮崎県家畜登録協会に勤務する。
平成7年4月、宮崎県議会議員選挙に初当選。2期を努める。JA西都理事を経て、平成17年1月、西都市長に初当選する(第13代西都市長)。平成21年、2期目当選、現在に至る。現在、宮崎県家畜人工授精師協会会長、(社)宮崎県家畜改良事業団理事も務める。

【目次】
はじめに 

第一部 畜産市長、苦闘の日々
第一章 口蹄疫ウイルスの襲来
2007年和牛オリンピックで総合優勝した宮崎牛
宮崎史上2回目、10年ぶり。まさかの口蹄疫発生!
誰もが甘く見ていたおざなりの初動態勢
恐るべし口蹄疫ウイルスの正体
第二章 追いつかない防疫態勢 
西都市には感染させない! 徹底防疫に努めた1カ月間
牛よりもウイルスの増殖力が強い豚に発生、国がやっと動く
爆発的な発生を引き起こしたゴールデンウイーク
今になって、ようやく。遅すぎた、知事の非常事態宣言
第三章 涙のワクチン接種 
日本初! 前例のないワクチン接種後の殺処分
必死の防疫にもかかわらず……西都市でもついに発生!
「仕方ない、打っていいわい」。ワクチン接種を農家が苦渋の承諾
ワクチン接種に至るまでの農家の苦しみ 
新たな課題を生んだワクチン接種
第四章 西都市独自の共同埋却方式 
丸坊主頭にして臨んだワクチン説得から殺処分
限界にきていた私の心と体
現場の声から生まれた共同殺処分埋却方式(西都方式)
困難を極めた埋却地交渉
頼りになる協力者 壱岐秀一さん
第五章 怒濤の殺処分・埋却
戦場と化した殺処分・埋却地で感じた無念
ぬかるみは心の中にまで。梅雨と暑さとの闘い
「気が狂ったのでは」と言われることもあった
移動も搬出もままならない畜産農家の不安とストレス
第六章 ついに終息へ 
残した教訓。救われた5頭の県有種雄牛の命
まっぷたつに分かれた県民世論 民間種雄牛6頭と保育園の羊
すべての人々に感謝!! 殺処分・埋却が全完了、終息へ
終焉と再開をめざし、粛粛と進められた後処理
第七章 課題を残した防疫対策 
明らかになってきた問題点 
消毒剤などの効能、適正な使用方法の検討 
国際的な防疫ならびに環境対策を踏まえた畜産振興を
ビニールシートは本当に必要だったのか 
県全体で29万189頭、西都市で2万412頭の貴重な家畜失う
第八章 復興への道のり 
復興に向けた闘い始まる ─ 復興対策本部の設置と復興計画 ─
県下トップを切って復興イベントを開催
元気と勇気を届けてくれたスポーツと心あたたまる義援金
万感の思いをこめて 畜魂碑の建立と畜魂祭

第二部 そのとき、獣医師、農家は
こんな経験は全国でも私たちだけ。伝えておかなければ 獣医師 矢野 安正さん
あ、これは殺処分のときと同じ姿勢じゃと思いました 獣医師 牧野 正明さん
同じ仲間として二度と、僕たちみたいな不安を味わわせてはいけない 肥育農家 大﨑 貞伸さん
生きて地獄を見るとは、どんげなこっちゃろかい 繁殖農家 武 政秋さん 和子さん
残された農家だってあわれなもんです 繁殖農家 久保田 学さん
ここで牛飼いをやめたら、牛たちの命が無駄になる 繁殖農家 川越 伸一さん 久美子さん

第三部 口蹄疫発生初動対策マニュアル
2010年10月 西都市口蹄疫対策本部編

結びに