書籍

『リバー・ワールド』川合大祐

『リバー・ワールド』
川合大祐

四六判、並製、368ページ
定価:本体1800円+税

ISBN 978-4-86385-453-6 C0092

装丁:吉岡秀典(セプテンバーカウボーイ)

 

トマト屋がトマトを売っている 泣けよ

ポスト現代川柳を牽引する川柳人による、怒涛の1001句。

『はじめまして現代川柳』でも注目される著者の第二句集。

 

川合大祐が溢れんばかりに繰り出す作品によって僕は「現代川柳」を知った。

ここで歌われているのは距離だ、と僕は思う。

異質なものを距離を超えてつなげるのではなく、距離そのものを結晶にし、つながらないものたちがそれでも一個の出来事になるのだ。

────千葉雅也

 

【目次】

第一章 零頭の象

第二章 プレパラート再生法

第三章 川を渡る

 

【収録句より】

ゴリラ撃つ人びとばかり船の上
世界なりサンダーバード糸切れて
エスパーが社史を編纂しない初夏
羊歯積んで電車のようなものに乗る
美大生ポップコーンのーのなかに
道長をあまりシベリアだと言うな
文集に埼の字がない養成所
カタルシス濡れせんべいが濡れてから
無をおそれつつ学研に出す葉書
零のまえ火とかぞえたる老賢馬

 

2021年4月刊行予定。

 

【プロフィール】

川合大祐(かわい・だいすけ)

川柳作家。1974年長野県生まれ。「川柳の仲間 旬」同人を経て、「川柳スパイラル」同人。ブログ「川柳スープレックス」共同執筆者。著書『川柳句集 スロー・リバー』(あざみエージェント、2016年)、共著『はじめまして現代川柳』(書肆侃侃房、2020年)。

東京新聞(21年5月15日) 「外山一機の俳句のまなざし」

《ありふれた生を、そうと知りつつ詠うということ。(……)それは同時に、傍らにいる僕らに、平凡な生の尊厳と生き延びる勇気とを思い出させてもくれる》

現代川柳(第79号、21年5月) 評者=茉莉亜まりさん

《そのときの川合川柳とは「表現」ではなく、生き継ぐための「行為」なのだろう》

ブルータス(22年4月21日) 評者=内沼晋太郎さん

《最も短い言葉で、広く深く、想像したこともないような変なかたちをしたイメージが、次々と怒涛のように突きつけられる》