書籍

『新装版 春のお辞儀』 長嶋有

句集『新装版 春のお辞儀』
長嶋有

四六判、並製、160ページ
定価:本体1,500円+税
ISBN978-4-86385-363-8 C0092

装幀:名久井直子

 

二十年の軌跡
一九九五年~二〇一四年にかけ、同人誌、私家版のミニ句集、文芸誌、俳句誌などの雑誌、またテレビ番組や公開句会の場で発表してきた中からの二七九句を精選収録。
『春のお辞儀』(二〇一四年四月二〇日)刊行から五年。
新作四十四句を加えた、名久井直子の装幀による新装版。

 

【自選五句
ほうと聞く祖父の浮気や春炬燵
よくあがり凧にいつ飽きたらよいか
サラ・コナーの命拾いや大熱風
眼鏡さらに3Dメガネ着ぶくれて
「ちょうど良い木の棒」と思う冬の棒

 

【著者略歴】
長嶋有(ながしま・ゆう)
一九七二年生まれ
一九九四年 朝日ネット(パソコン通信)の「第七句会」で句作を始める。
一九九五年 「恒信風」創刊同人。
一九九六年 ミニ句集『月に行く』。
一九九八年 ミニ句集『春のお辞儀』。
二〇〇四年 ミニ句集『健康な俳句』(以上すべて私家版)。
二〇〇五年 「恒信風」十三号で同人誌を休会。
二〇一一年 千野帽子、米光一成、堀本裕樹との公開句会「東京マッハ」に参加。
二〇一二年 ツイッター(SNS)で句会「なんでしょう句会」を主催。
二〇一四年 同人誌「傍点」を立ち上げる。
二〇一七年 『小説野性時代』野性俳壇の選者に。
二〇一九年 「NHK俳句」選者。

傍点公式サイト boutenhaiku.com

 

2019年4月中旬全国書店にて発売。

書評

「NHK俳句」2019年9月号 評者=村井康司さん
《日常の中のちょっとした発見や喜びや驚きが、平易な言葉で書かれていて、これはもう長嶋有の小説世界のプロトタイプだと言っていい。〔……〕新装版増補分に収録された近年の作でも、文体が大人っぽくなったとは言え、その「日常という不思議」へのまなざしは変わっていない》

 

「読売新聞」2020年4月26日 評者=村田沙耶香さん
《なんだか、今日、何もしていないなあ、と思うことがある。けれど、指先についたボールペンの汚れがなかなかとれなかったり、シャツのタグが痒いなあ、と思って切ったらもっと痒くなったり、本当は毎日何かが起きているのだ。〔……〕何もしていない日常が、発見の連続になる。今、この本が本棚にあることに感謝しながら、そっと手にとっている》

 

「書評キャンパスat読書人2019」2020年10月30日 評者=郡司和斗さん
《たった一七音の中にも、小説や映画に負けないくらいの世界がある。長嶋有というレンズを通して世界をみた後は、今度は自分のレンズを通して、きっと今までスルーしていた瞬間に気づくようになる。》

『新装版 春のお辞儀』刊行記念

長嶋有さん×名久井直子さんトークイベント

「第2回長嶋有サイン(句)会」

日時:2019年5月17日(金)20:00~22:00 (19:30開場)

場所:本屋B&B(東京都世田谷区北沢2-5-2 ビッグベンB1F)

長嶋有さんの句集『新装版 春のお辞儀』が、書肆侃侃房から刊行されます。『春のお辞儀』は、2014年にふらんす堂から刊行されましたが、すぐに絶版、ずっと手に取れない状況が続いていました。しかし、4月から長嶋さんが「NHK俳句」新選者に就任するのを機に、名久井直子さん装幀による新装版として復刊することとなりました。1995年から2014年にかけ、同人誌、私家版のミニ句集、文芸誌、俳句誌などの雑誌、またテレビ番組や公開句会の場で発表してきた中から、二七九句を精選収録。さらに新作44句を加えた新装版刊行を記念して、B&Bにてイベントを開催します。
お相手にお迎えするのは、装幀を担当されたブックデザイナーの名久井直子さん。前半は、長嶋さんと名久井さんによるトークを、そして後半には「サイン句会」をお楽しみいただきます。「サイン句会」とは、サイン会に集まったお客さまからその場で兼題をもらい、即興で俳句を作るという、長嶋さんが自ら苦しむために発案したとしか思えないむちゃぶり企画(でも読者は嬉しい!)。
2014年、『春のお辞儀』刊行記念でも開催し、話題となりました。どうぞお楽しみに!

http://bookandbeer.com/event/20190517/