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明日は我が身か

  • 2026-01-25 (Sun) 16:42
  • 総合

 寒い日々が続いている。中学校の職場で教室に向かう途中、嫌な寒気を覚えた。それでコートを羽織って教室に向かうことを許してもらった。翌日は高校だけの仕事の日。早朝に起床して思った。へたすると風邪をひきそうだ。それで思い出した。去年だか、上下のズボン下を来て出勤していたこともあったではないかと。あれは温かかった。
 衣服の山からズボン下を探し出し、早速着込んだ。ネルのズボン下はさすがに温かい。なんでもっと早く手を出さなかったのだろうか。やはり独り身の男の長年の一人暮らしはそこかしこでボロを出すらしい。まあ、でもこれからもしばらくは寒い日々が続くだろう。ズボン下の存在に気づいて良かった。・・・とここまで記して去年のブログをチェックしてみた。2025年2月9日の項で次のように記している。――福岡はこのところ寒い日々が続いている。先週はついに初めてネルのズボン下を着用した。ロンドン勤務時代にモスクワ取材に備えて上下を購入していた。帰国してからはほとんど着たことがなかった。箪笥の奥にしまっていたそれを引き出した。ふんわりしたズボン下を着るようになってずいぶん温かく感じるようになった。もっと早く気づけば良かった。これからはこのズボン下着用が欠かせなくなりそうだ――
 そうか、今年は2月の声を聞く前にズボン下の存在に気がついて良かった。なぜもっと早く思い出さなかったのだろうか。
                  ◇
 寒くなると温泉が恋しくなる。私が住んでいる近辺には温泉がない(と思っている)。スーパー銭湯の類はないことはないが、あまり食指は動かない。また玉名温泉に生きたくなった。でも今月初めに言ったばかりだしなと思って、手帳やブログで調べて見たら、勘違いしていたことに気づいた。玉名温泉に足を運んだのは今月ではなく、去年の暮れだったことを。ほぼ一か月前。博多駅から九州新幹線を利用して出かけていた。在来線なら新幹線より安く行けるのだが。もちろん、在来線だから時間はかかるが、たいしたことはない。週末を利用して行くことも十分可能だろう。そのうち、また行くべかなと思い始めている。少しは土地勘もできたことだし。何より、湯が気に入っている。亡きお袋もこれぐらいの贅沢は大目に見てくれるのではないかと思っている・・・。
                    ◇
 オー・ヘンリー賞を受賞した作品をオンライン英語教室で読んでいる。今読んでいる作品の中に沈思黙考させられる描写があった。自活できなくなった人々が余生を送る高級老人ホームに入居している老婦。認知症からか、彼女は好きな飲み物さえ周囲の老人からの指摘で知る。How did it feel, I had wondered, to exist, increasingly, from outside oneself, to rely on others to tell you who you were, to lose the secrets that you had told no one, the secrets that defined who you were, for better or worse, because they belonged only to you.
 老化による衰えが怖いのは身体機能だけではない。脳の劣化もそうだ。他人には話したことのない秘め事、自分が自分であることを決定づける大切な思い出が自分の記憶から跡形もなく削られていく怖さ、悲しさ。人生とはかくも惨いのか。明日は我が身か。

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