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April 2026

羅針盤いずこや?

 4月。新年度がスタートした。私は今年度の仕事は高校一本で行くことになった。午前中は中学校、急いで駅に歩き、午後から高校で授業という慌ただしさからは解放される。高校の授業では色々と反省、考えさせられることがあったので、そうしたものを活かし、充実の一年としようと心に誓っている。温泉に浸かりながらそんなことを考えた。
 それにしても、世の中を見渡すと暗澹たる思いに沈むことが増えた。一昔前ならアメリカがイスラエルとつるんでイランを空爆するなどとは想像しづらかった。中東全体が火の海になると危ぶんだ。既にそうなりつつあるのかもしれない。トランプ米大統領はイラン空爆の目的、すなわちイランの核開発の能力を崩壊させたとして、ちかく米軍を戦線から撤退させる意向を語っている。石油危機を引き起こしているイランによるホルムズ湾の封鎖についても、石油を必要としている国々が自分たちの軍で原油を奪い取れと信じ難い無責任発言を繰り返している。
 米軍に深刻な人的被害が出始め、自身の政権への批判の声が高まる前に早いとこ、危ない戦闘の現場から逃げだそうという魂胆は見え見えだ。米軍が手を引くことで紛争が沈静化し、イランの一般の人々の犠牲がこれ以上増えないことは歓迎したいが、力は正義とばかりに気に入らない他国を攻撃する、それを結果的に容認したことの「報い」を国際社会はこれから受けることになるのか。ロシアの侵略を受けているウクライナへの余波も心配だ。
 他方、改善の気運が一向にみえない日中関係も憂鬱。正直、中国のことはよく分からない。私が東京の新聞社に就職し、国際部(当時は外報部と呼ばれた)に配属された1980年代は中国は今ほどの重要性は有していなかったように思う。地方支局勤務を経て、希望通りに国際部に配属された時、同期の記者は私を含めて5人いたが、中国語専門つまり将来の中国勤務を志望していた者は皆無だった。いくつかの転勤を経て、国際部をのぞくと、配属された若手記者は圧倒的に中国語専門の記者だったことに驚いたことを覚えている。国際社会に占める中国、そして日中関係の重要性が増したことを物語っている。
 今福岡に暮らし、日々の国際ニュースは読売新聞やネットの報道を中心にフォローしているが、正直、中国の政権の動向はよく分からない。気になるのは近年、政権幹部の理解に苦しむ反日、嫌日の発言の数々だ。高市政権になってからは憎悪感さえ漏れ伝わってくるように感じている。為政者から憎悪感むき出しの発言が繰り返される二国間関係が正常であるはずがない。気軽にこうした素朴な疑問を尋ねることができた尊敬する中国通の先輩記者は物故者となっており、残念至極。
 読売新聞の文化欄の「思潮」に興味深い記事が載っていた。文化部記者が出版されたばかりの論壇誌をざっくり解説した記事だ。興味深そうな論点がいくつか紹介されていたが、要するに日中関係が対等で良好だった時期は歴史上ほとんどなかったのだという。日本はかつて中国から漢字や仏教、食文化などを取り入れ、恩恵を受けたことはよく知られている。だから日中関係は「一衣帯水」「同文同種」とその緊密さをよく指摘されるが、日本の政治・外交はそうした情緒的な発想から脱却して、国家としての戦略に基づいた関係構築が求められているのだという。戦略なき「対話」の呼びかけは不毛だと断じていた。

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