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惜指失掌

  • 2020-04-17 (Fri) 11:19
  • 総合

20200417-1587089912.jpg 新型コロナウイルス。政府は全国に緊急事態宣言を発令した。事態はいよいよ深刻の一途だ。外出自粛などの対策が講じられなければ国内で最悪の場合、約40万人が死亡する恐れがあるという驚くべき試算も専門家により警告されている。それを思えば、致し方ない宣言であろうが、何となく釈然としない思いは残る。
 不要不急の外出を控えよと言われるまでもなく、コロナウイルスを見舞われそうな人混みの中には行きたくはない。誰でもそうだろう。ただ、そうかといって、一日中、自宅にひきこもっていては、身体がなまるし、精神的にも良くない。だから日課に近い香椎浜でのスロージョギングは続けている。皮肉なことに最近は本来なら学校で勉強しているはずの子供たちのほか、幼児を連れた若い母親などが増えて賑わっている。
 香椎浜は福岡空港に近く、コロナ禍の前には上空に絶えず飛行機の往来があったが、今はあまり見かけなくなった。国際線が潰滅的打撃を受けているのは走っていても推察できる。沿道の桜も散り始めており、例年なら桜を愛でながら汗を流すのだろうが、今年はとてもそのような気分に浸れない。
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 日本以上にコロナウイルスが猛威を振るっているアメリカ。トランプ米大統領はしかし、できるだけ早く米国内の経済活動の再開に踏み切りたい意向のようだ。経済活動再開に向け、各州の事情に応じた新指針を発表したとか。彼にとっては米経済の回復は今秋に迫った大統領選で再選を果たすための唯一無二の絶対条件。百害あって一利なしのコロナウイルスだが、トランプ大統領再選を阻止する要因となるかと思うと複雑な心境だ。
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 韓国語と中国語のNHK講座。今月から新しいクールでの放送となっている。両言語とも中級講座は再放送で有難いが、新講座はなく、私のような怠け者はいよいよ怠けそう。初級講座は惰性で聴いているが、新しい気づきを与えてくれ、また復習に役立っている。
 中国語では「温暖」という語が出てきた。これは文字(漢字)を見れば分かる。意味も日本語の「温暖」と同じだ。発音はwēnnuǎn。あえてカタカナ表記すると「ウェンヌァン」。声調を含めると、私には正しく発声するのは骨が折れるが、中国語は文字(漢字)を目にした時に意味が推量できるのは、韓国語とは大いに異なる。韓国語はハングル文字を読むのは比較的簡単だが、それで意味がぱっと分かるものでは決してない。
 最近目にとまったことわざは「惜指失掌」。これも掌が「手のひら」だと知っていれば、「指を惜しんで手のひらを失う」と読み取り、「目先の利益にとらわれ、大局を見失う」意だろうと推察できる。こちらの発音はもっと難解なxī zhǐ shī zhǎng。「シージーシージャン」であり、カタカナ表記ではとても中国語の音を表現できない。二つのシー(xi と shi)は舌の位置が異なり、従って同じ音ではない。xi は日本語のシーで良さそうだが、shiは「そり舌音」と呼ばれるシーでくぐもった響きのあるシーだ。気を抜くと私にはほとんど同じ音に聞こえる。英語だと例えば、see [siː] と she [ʃ iː] の音は全く別物だが、その違いとはまた別の違いの音だから悩ましい。

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