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米大統領選・テレビ討論

  • 2015-12-18 (Fri) 15:03
  • 総合

 米大統領選が熱を帯びつつあるようだ。先日は共和党の指名を争う各候補者による5回目のテレビ討論会が行われた。私は時々ケーブルテレビの生中継に耳を傾けたが、候補者が時にヒートアップする場面があって面白かった。
 指名候補争いのトップを走っているのは過激な発言が物議を醸す不動産王で大富豪のドナルド・トランプ氏。それを強く意識しているのが父と長兄が大統領というジェブ・ブッシュ氏(元フロリダ州知事)。世論調査ではブッシュ氏はトランプ氏に大きく水をあけられている。この二人のやり取りがまず目を引いた。トランプ氏に軽くジャブを放たれたブッシュ氏が次のように反撃する。“You’re not going to be able to insult your way to the presidency. Leadership is not about attacking people and disparaging people.”(あなたはそうやって侮辱的発言を重ねて大統領になれるとでも思っているのか。指導力というものは人を攻撃したり、非難したりすることではないのだ)
 これに対し、トランプ氏は “You know, you started off over here, Jeb”—i.e. at the center lectern on the stage, where the leader in the polls stands. You’re moving over further and further. Pretty soon you’re going to be off the end.”(あなたはこの間までここに立っていた。世論調査でトップの座が立つことになっている舞台の中央だ。今では段々とそこから遠ざかって行っているではないか。間もなくいなくなってしまうのだろう)と皮肉たっぷりに応じていた。
 けんか腰になっても、相手を呼びかける際には “Jeb, …” “Donald, …” とファーストネームであるところが我が国とは異なり、改めて彼我の文化・伝統の違いを認識する。
 私がアメリカを旅していた2011年にもトランプ氏は異国、異教徒に対する偏見に満ちた発言で、米メディアを賑わしていたが、まさか今回の大統領選の共和党候補指名争いでフロントランナーに立つとは思いもしなかった。しかも、大統領選が翌年に迫ったこの12月という時期に。韓国語を借りれば「アイゴ!」。しかし、英BBC放送のネットを見ると、彼を支持しているのが白人の中高年の保守層の人々という従来の見方は当てはまらず、大卒の若者層も彼の「強いアメリカを再び」という主張に惹かれているのだとか。「アイゴ!」
                           ◇
 『日本的霊性』(岩波文庫)という書を読んだ。後半はすっ飛ばした感があるものの。著者は仏教学者の鈴木大拙(1870-1966)。法然から親鸞聖人へ受け継がれた浄土(真)宗の教えを高く評価し、論じていた。この本の表書きには「現代仏教学の頂点をなす著作であり、著者が到達した境地が遺憾なく示される」とあった。難解なところも少なくなかったが、痛快だったのは平安文学を痛罵する記述だ。マーカーを走らせた部分を再録すると————。
 「『源氏物語』のような文学的作品は世界にないと言うが、こんなもので日本精神が————それがなんであるにしても————代表されては情けない。貴族生活の恋愛葛藤・政治的陰謀・官能的快楽・文学的遊戯気分・修辞的技巧などで充たされている作品は、あまり持てはやさぬがよいと思う。作者は女性ゆえ、十分の敬意を表し度いが、それ以上には出られない。(中略)さまざまの日記・物語類の作者を出した平安文化は優雅で、或る意味の上品さを示したということのほかに、まず取り柄がないと言ってよい

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