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群衆雪崩

  • 2022-10-31 (Mon) 15:42
  • 総合

 韓国の首都ソウルで土曜日夜、信じ難い雑踏事故が起きた。ハロウィーン前夜の歓喜にあふれた繁華街・梨泰院(イテウォン)の坂道の路地(全長約40㍍)に群衆が殺到し、将棋倒しとなった人々が押しつぶされ、これまでに若者を中心に154人が死亡し、133人が負傷する重大事故となった。群衆雪崩と呼ばれる事故か。犠牲者の数の多さに圧倒される。
 韓国の地元紙は「幅3・2㍍の死の路地」との見出しでこの惨事を報じているとか。300人以上の死者が出た2014年の旅客船沈没事故を思い起こしたが、あれは逃げ場のない旅客船内での惨事。今回の事故は危険を察知した時点で逃げ出せなかったものか。気づいた時には前から後ろから次々に人が押し寄せ、身動きが取れなかったのかもしれないが。
 邦字紙を読んでも事情がよく分からなかったが、英字紙ジャパン・ニュースを読んで判明したことがある。それは次の記述だ。AFP-Jiji電の記事だ。Some survivors claimed that nearby stores and establishments on the alleyway had blocked people from coming in to escape the crush. “It looks like the casualties were more severe as people attempted to escape to nearby stores but were kicked out back to the street because business hours were over,” one survivor told Yonhap. 路地沿いの商店などに難を逃れようとした若者たちが入店を拒絶された様子がうかがえる。機転を利かせた商店主たちがいたら、死者数は激減していたのではないかと思うのは私だけだろうか。(Yonhapは韓国の通信社・聯合ニュース)。合掌。
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20221031-1667198564.jpg もう一つ、ジャパン・ニュース掲載の話題から。こちらは読売新聞の翻訳だが、もともとの記事を読んでいないので新鮮な気持ちで読んだ。お笑い芸人の渡辺直美さんの活躍を紹介したいわゆるフィーチャー記事。私は彼女のファンではないが、海外で言葉のハンデや体型に臆することなく活躍する彼女のことは好ましく思っていた。大学の授業でも彼女が欧米の舞台で演じたパフォーマンスを取り上げたことがある。
 記事は冒頭で次のように書かれている。Having broken through in 2008 with her impersonation of Beyonce, Watanabe is now the most-followed Instagrammer in Japan and has made a far bigger achievement than just being a successful standup comic. 彼女がまず日本国内で人気を博したのはビヨンセの歌真似、それも口パクでの物真似。あれほど堂々としたパフォーマンスを見せつけられると拍手喝采するしかないかなと思わざるを得ない。
 彼女が英語を流暢に話せないことは認識した上でそれを意に介していないことは明らか。むしろ不得手であることを「武器」にしているのではないかとさえ思いたくなる。記事の中で「lookism」という語に初めて出合った。辞書をひくと「容貌、外見による差別(偏見)」と出ている。彼女は人種を含めたさまざまなlookismを打破している。あっぱれ!
 私は彼女の活躍に諸手を挙げて称えているわけではない。彼女は自分の英語の発音をブラッシュアップする必要を感じていると思う。私が見たYouTubeでは通訳の女性だかをmy friend と紹介していたが、日本式の「フレンド」、しかもドにアクセントを置いて発声していた。自分の英語を堂々と口にする物怖じしない態度は若い人たちにお手本にして欲しいが、日本式の発音までは真似をして欲しくない。英語教師ならそう思うだろう。

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