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「警告」と「敬告」

  • 2019-11-06 (Wed) 13:05
  • 総合

 ラグビー・ワールドカップに大リーグやプロ野球も店仕舞いし、退屈だと書いたら、「プレミア12」とかいう野球の国際大会が始まった。来年の東京五輪の予選を兼ねているらしいが、どうも緊張感にかける印象がある。昨日の1次ラウンドの日本対ベネズエラの一戦も日本が何とか8対4で辛勝したが、相手の守備エラー、自滅に乗じての勝利のように見えなくもなかった。日本のライバル、若手主体の米国もドミニカ共和国を相手に10対8の大味なゲームで勝利したようだ。終了したばかりのラグビーの命がけの熱戦を見た後では、何だかなあーと思わざるを得ない。
 東京五輪の野球にもさして興味はわかないが、ネットで調べてみると、出場チームはわずか6チームだというではないか。3チームずつに分かれて予選を戦い、それからノックアウトステージを経て、準決勝、決勝となるとか。ノックアウトステージは要するに敗者復活戦で予選を含め何度か負けても決勝戦まで勝ち上がることができる可能性があるようだ。少数精鋭と言えば聞こえはいいが、わずか6チームで金銀銅のメダル争いとは・・。野球は日本のお家芸とは言え、すでにして興味半減だ。
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 ソウル訪問で再会した友人のJさんのことを時々思い出している。中国語に精通している彼と交わした中国語談義が興味深かったからだ。中国語の発音に四苦八苦している私に彼はこう言った。「発音も大事だが、少々間違ってもあまり気にすることはない。しかし、声調を間違えてはいけませんよ。声調を間違えるととんでもないことになる」
 Jさんが例として挙げたのが、「警告」と「敬告」の2語だった。日本語と全く同じ漢字・意味合いの「警告」はピンイン表記だとjǐnggào で、声調で言えば、最初のjingが低く抑えて音を出し、次のgaoは上から一気に下げて発声する。「敬告」は日本語にはない語句で「謹んでお知らせする」という意味らしい。ピンイン表記はjìnggào で最初のjing も次のgao も上から一気に下げて発声する。声調を間違えると、自分としては相手に敬意を込めて申し上げているつもりでも、「警告の言葉」となり、甚だ礼を欠く表現となる危険があるというわけだ。声調に右往左往する日本語話者の我々にはどきっとする指摘だ。
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 トランプ米大統領が地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を国連に正式に通告した。一年後の来年11月4日に離脱が発効する見通しで、新大統領を選ぶ米大統領選の投票日の翌日に当たるとか。私の頭にぼんやり浮かんだのは温暖化対策が大統領選の争点の一つとなり、離脱に反対する民主党候補がトランプ氏に勝利し、勝利演説の中でパリ協定復帰を高々と宣言するシナリオ。事実、民主党の有力候補、エリザベス・ウォーレン上院議員は「大統領に就任した初日にパリ協定に復帰する」と語ったと報じられている。
 日本を襲うスーパータイフーンや夏の猛暑、世界各地で相次ぐ水害や旱魃、さらには森林火災など、地球温暖化が元凶と目される災害を直視すれば、パリ協定からの離脱は人類の自殺行為と言えるかもしれない。それでもトランプ大統領が再選されるとしたなら、世界が辛うじて米国に対し抱き続けている「良識の国」のイメージは地に落ちるだろう。

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