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主語について

  • 2017-08-18 (Fri) 11:55
  • 総合

 田舎に一週間ほど帰省して帰福。長姉が不在の郷里はさすがに寂しかった。人の住まない家は朽ち果てるのが早いという。まさか、長姉の家がこうも早く主不在となるとは思いだにしなかった。甥っ子たちと呑気なひと時を過ごしたが、これからはどうなることやら・・・。
                 ◇
 田舎で『中国語のしくみ』(白水社 池田巧著)を読み終え、その後も寝転んで拾い読みした。大いに参考になった。記憶の新しいうちに、幾つか記すと。
 日本語でもっとも簡単な会話は、津軽弁の「け!」「く!」(「食え!」「食う!」)だと言われていますが(自分で直接確認していないので、もし違っていたら、ごめんなさい)、試しにこれを中国語に訳してみると、日本語とは違う中国語のしくみがよくわかります。
 你吃吧! 我吃!
 逐語訳すると左の文は「おまえ/食べろ/よ!」、右の文は「オレ/食べる!」となります。まず気がつくのは、中国語では誰が食べるのかを明示していることです。日本語の「食べる」は「食べます」「食べれば」「食べろ」のように形が変化しますけれども、中国語の‘吃’は、誰の動作であっても、いつ行われても、形も発音も変わりません。(中略)文末の‘吧’は「~なさいよ」「~でしょう?」といった勧めたり推測したりする気持ちを添えていて、これがないと命令口調になってしまいます。

 そう中国語は英語に似て、主語を明示することの多い言語のようだ。この点、日本語とはかなり趣を異にしている。挨拶の項では次のようなことが指摘されていた。
 中国語の‘你好!’は、日本語の「こんにちは!」に相当すると思いがちですけれども、初対面あるいは久しぶりに会ったときに使うかなりフォーマルなあいさつです。しかも1930年代頃から使われ始めた比較的新しい表現らしく、ロシア語の「ズドラーストヴィチェ」からの翻訳ではなかったかと考えられています。同様に、‘再见!’も、フランス語の「オルヴォワール」あるいはロシア語の「ダスヴィダーニャ」からの翻訳だと言われています。日本語で「こんにちは」「さようなら」を家族に使わないのと同様、‘你好!’や‘再见!’も家族間では使いません。‘谢谢!’も、家族では他人行儀な感じがして、使われることは少ないようです。(中略)目上のひとに対しては、‘(~)老师,您早!’「(~)先生、おはようございます!」のように相手の呼称や名前を添えるのが自然ですし、丁寧な感じがします。相手の名前や呼称を呼ぶのは親しさの表明であり、親しみは敬意につながるという考えかたがあるからです。その極端な例として、学生同士などではあいさつ語抜きであいさつを交わすという面白いコミュニケーションも見られます。たとえば、友人とすれ違ったときに、(相手の)名前だけを呼んで声をかけ合うのです。(ロシア語やフランス語の表現はもちろん、それらの言語でスぺリングが記してあったが、ここでは割愛)
 名字だけでなく、フルネームで呼ぶのが丁寧で好感を持たれる呼び方だとも書かれていた。日本では普通、相手をフルネームで呼ぶとかなり奇異な印象を与える。呼称については、例えば大学のキャンパスで「那須先生!」と名字を添えて呼ばれたとしたら、悪い気はしないかと思うが、私の場合は単に「先生!」と呼ばれるのが関の山だ。

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