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テロが破壊するもの

  • 2017-06-05 (Mon) 09:31
  • 総合

 福岡は好天が続いている。海外からは惨たらしいニュースが跡を絶たない。ロンドンの中心部でまたも起きたテロ。そうあって欲しくないが、欧米ではかつてなかったほどの無差別殺戮事件が続発しており、今年はかつてなかったほどのテロ頻発の年となるかのように見える。厳しい治安措置はもちろん必要だが、警備の手薄なソフトターゲットを狙う狡猾なテロを防ぐのは困難極まりないだろう。盲目的なテロに走るイスラム過激派の主張の非を真正面から論破してくれる宗教指導者の登場が待たれる。
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 テロに見舞われている英国の隣、アイルランドからは政治のニュース。与党の中道右派、統一アイルランド党の党首にインド出身の父親を持つ移民二世のレオ・バラッカー社会保護相(38)が選出されたという。バラッカー氏は今月中にアイルランドの新首相に就任する見通しだとか。
 38歳の若さでの首相就任はアイルランド史上最年少。インド系の首相就任も異例だが、特筆すべきは彼が同性愛者(gay)であることを公言していることだ。アイルランドは人口約480万人の小国だが、国民の大半は敬虔なカトリック教徒。その国でゲイであることを公表している政治家が国のトップに座に就くことは、私がロンドン支局記者としてこの国を取材していた1990年代には考えられなかった。
 ジャパン・ニュース紙で読んだロイター通信の記事によると、バラッカー氏の父親はインドのムンバイ生まれの医者。70年代にイングランドに住んでいた時に妻となるアイルランド人の看護師と出会い、アイルランドに移ってきたのだという。ネットでバラッカー氏が新党首に選出された直後のスピーチを聞いた。“If my election today shows anything, it is that prejudice has no hold in this Republic. I know when my father traveled 5,000 miles to build a new home in Ireland, I doubt that he ever dreamed that one day his son would grow up to be its leader and despite his differences, his son would be judged by his actions not his identity.”
 ロンドンのテロが破壊しているのはかけがえのない人命だけでなく、ヨーロッパが誇るべき社会の多様性(diversity)だ。
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 NHKラジオの中国語講座で「这是你们住的饭店。」という表現を学んだ。「動詞の前に主語がついた文も名詞を修飾する語になる」ことができる例文として紹介されていた。日本語でもそれは当たり前のことではないか! 上記の文章を粛々と日本語に落とせば「これ(这)は(是)あなた方が(你们)泊まる(住的)ホテル(饭店)」。英語だとこうはいかない。上記の例文をそのまま忠実に英文に落とすと、“This is you stay hotel.” となろうか。これでも何とか意味は分かってもらえるだろうが、たどたどしい。“This is the hotel you stay.” と語順に少し手を入れれば、自然な英語になる。上記のような日本語の語順に酷似した中国語の文章の「ストック」を増やしていけば、中国語の力がつくのではないのだろうかと思い始めている。厄介な声調と発音はともかくとしてもだ。

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