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連音

  • 2015-09-06 (Sun) 13:42
  • 総合

 韓国語の勉強が面白い。ケーブルテレビで何と多くの韓国語のドラマが放送されているかということは前回書いたが、偶然にもあの「冬のソナタ」の再放送が始まった。実際にドラマを見たことは一度もなかった。あらすじも全然知らない。それでも、韓流ブームを巻き起こしたドラマぐらいのことは私も承知しているので、遅まきながら、見始めた。今月末までに全20話を一挙に放送するようだ。主演の男優がなるほど端正な顔立ち。嗚呼、日本の奥様方がはまったのはむべなるカナダ、いやカンコクか!
 その韓国語。例えば、그는(彼は)머리(頭)가(が)좋다.(いい)という例文。こういう文章に遭遇すると、韓国語は日本語と似ていると思わざるを得ない。英語で「彼は頭がいい」を語順通りに「直訳」しようとすると、“He is, head is good. という感じの文章になるが、もちろんこれでは文法無視の悪文でしかない。頭=head に固執すれば、“His head is good.” という文章が考えられるが、ほめられた英文ではない。普通だと “He has a fine brain.” とか “He is bright.” という訳文となるのだろう。
 これが韓国語になると、頭に浮かんだ日本語をそのまま韓国語に置き換えていくだけのことだ。「彼は頭がいい」は上記のように、그는 머리가 좋다. (クヌン モリガ チョッタ)となる。語順に煩わされることがないのはありがたい。
 韓国語は15世紀半ばに当時の世宗大王が自国の民が等しく理解できるように科学的メソッドで創設した言語だとか。少し厄介なのは我々が普段意識することのない激音、濃音の明確な区別の他、フランス語だと「リエゾン」と呼ばれる「連音」があることだ。例えば 저는(私は) 약속(約束)이(が)있습니다.(あります)という文章。「チョヌン ヤクソギ イッスムニダ」。「ヤクソク」(yaksok)と次の「が」を意味する「イ」(i)が連音して「ヤクソギ」(yaksogi)と発声される。
 語学書を読むと、日本語と韓国語は文法がほぼ同じで、背景にともに漢字という「裏付け」があるため酷似している面があるが、基層の語彙は異なっており、英語とドイツ語のような類似性はなく、「姉妹語」とは呼べないそうだ。そうであっても、上記の약속(yaksok)のように日本語と同じ意味、発音の語があり、しかもそういう語が数多いことは大変心強い。
 この連音は日本語でも我々は当たり前のように使っていると私は思う。私には孝臣、修という名の二人の兄がいた。残念ながら二人ともすでに故人となったが、私は子供の頃から兄たちを「たこまんちゃん」「おさまんちゃん」と呼んでいた。ある日、次兄をそう呼んでいたら、次兄の子供たちに「省一おじさん、おさまんちゃんって誰のこと?」と不思議そうに尋ねられたことがある。姪や甥には父親の「おさむ」が「おさまんちゃん」に結びつかなかったのだ。Osamu(おさむ)とanchan(あんちゃん)は普通に続けて発生すると、muのuが落ち、anchanのanと結合して、Osamanchan(おさまんちゃん)となる。同様に長兄のTakaomi(たかおみ)の場合はmiのiが落ち、anchanと結合する。その前にTakaomiのkaoがko に縮まっており、最終的にはTakomanchan(たこまんちゃん)となる。
 今、韓国語の独学で連日この連音と「格闘」していると、黄泉の国に旅立った兄たちのこともなぜか思い出されたりしている。

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