- 2015-06-26 (Fri) 09:07
- 総合
先週末は久しぶりに宮崎の田舎に帰郷した。長姉の家は山の中腹にあり、夕刻は居間で毛布が欲しくなるほど涼しかった。正月過ぎのこの欄で書いたかと思うが、帰郷すると夜には庭に出て夜空を見上げる習慣となっている。不思議な飛行体は今回は目にしなかったが、妙に揺れ動いている星のようなものはまた見えた。あれは一体何?
再び福岡のマンション。窓辺の風鈴も最近は風がないので、残念ながら音なし。問題は夜の寝苦しさ。うちわで風を送りながら、眠りに落ちるのを待っているが、もうそろそろ限界に近づいているかもしれない。まだクーラーのお世話にはなりたくない。それで、本日、近所の電気店から手頃な扇風機を買ってきた。これでしばらくは夜の寝苦しさと「格闘」しよう。クーラー(an air conditioner)よりも扇風機(an electric fan)の方が「ロハス」に近い暮らしだろう。言い訳に過ぎないが。
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『徒然草』も読了した。「ビギナーズ・クラシックス」(角川書店)と題されたダイジェスト版の文庫本だったので、そうでなければまだ「格闘」していたはずだ。
日々「晴読雨読」の身は手元に何かないと寂しい。今手元に置いているのは、イギリスの作家、オルダス・ハクスリー(Aldous Huxley 1894-1963)の “Island” (邦訳『島』)という小説だ。彼の代表作として良く知られている “Brave New World” (邦訳『すばらしい新世界』)を読もうと思ったのだが、時々のぞいている天神の書店には在庫がなく、“Island” の方が並んでいた。手にした本の裏表紙の説明文を読むと、“In his final novel, which he considered his most important, Aldous Huxley transports us to the remote Pacific island of Pala, where an ideal society has flourished for 120 years. Inevitably, this island of bliss attracts the envy and enmity of the surrounding world. A conspiracy is underway to take over Pala, …” と記してある。
作家が自身の「最も重要」と見なした最後の小説であるからには読むに値するに違いないと購入した次第だ。物語のプロットも太平洋に浮かぶパラという名の島国は、地上の楽園として過去120年の長きにわたり理想的な社会を実践してきた。それゆえに周辺国の嫉妬、敵意を買い、島を乗っ取る陰謀が・・・とあれば、面白そうではないか!
イギリス文学の古典的作品、トマス・モア(1478-1535)の『ユートピア』を想起させる物語のようだ。来週中には読破できるかと思う。また、このブログで(備忘録的に)読後感を記したいと思う。『ユートピア』は翻訳(岩波文庫)で去年だかに読んだが、読書ノートを残す習慣がないので、読後感は失せてしまった。シェイクスピアが生まれる前の近世イングランドに生き、「この世の中にはこのような贋(にせ)の快楽に眩惑されてしまって、飛んでもない気違いじみた錯覚を懐いている人間が多いのだ。例えば、たまたま古い先祖を持ち、その先祖が代々金持であったし(今日でも貴族というものは要するにそれだけの話である)、特に土地を多く持っていたという、ただそれだけの理由で、自分がいかにも高貴な生まれであるかのように思い込み、すっかりいい気持になっている連中など、まさにそうである」と喝破できる思想家の文章に感銘を受けたことだけは覚えている。