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懐かしき母校

  • 2014-11-04 (Tue) 08:20
  • 総合

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 先週末、久しぶりに帰郷した。いや、私は結構帰郷している。「競う本能」はあまりないが、「帰巣本能」は並外れてあるようだ。帰郷すると煩わしいこともあるのだが、それでも帰らざるを得ない。
 とはいえ、今回の帰郷には明確な目的があった。古里の中学校で学ぶ生徒に「将来の進路」について何か有益な話をしてくださいと依頼されていたのだ。私のような風来坊的な生活を送っている者でも、若い世代のお役に立てるのであればと快諾した。
 我が懐かしの母校は過疎化ゆえに、地区外からの山村留学生で辛うじて命脈を保っている。生徒数15人。女子生徒の数が多いかに見えた。遠く県外から来ている生徒もいるのだろう。この学校が存続しているからこそ、古里は生き長らえていると思っている。だから、「東米良」(ひがしめら)の不便な地にある母校を学び舎に選んでくれた彼らには大いに感謝している。それは地区住民の共通の思いだろう。
 私の演題は「好きなもの見つけよう」というものだった。私にとってそれは、中学生時代に興味を抱くようになった英語だった。高校時代には何となく、得意な英語を活かせる仕事に就きたいと思うようになっていた。私の場合は好きなものは英語だったが、それはもちろん、何でも構わない、ただ、今の私のように、第一線を退いても長く関わることができるような仕事であれば理想的というようなことを話した(つもりだ)。果たしてどこまで理解してもらえたか。
 彼らにもう一つ伝えたいことがあった。教養の大切さだ。読書と置き換えてもいいかもしれない。好きな分野(教科)だけを学習していればいいというものでもなく、大学を出れば教養が身につくものでもない。教養を身に付けるには、普段から「古典」に親しむのが一番。夏目漱石や志賀直哉、芥川龍之介を読んで欲しい、などと語ったかと思う。
 いつもそうだが、この手の話をして、後で後悔することが多い。しまった、あれを語れば良かった。こう説明すれば、もっとよく分かってもらえたのでは・・・などと。銀鏡の自然をたっぷり味わって欲しいということも伝え忘れた。草木の名前など知りもしない私だが、彼らにとってあれほどの自然に囲まれて暮らすことはこの先ないだろう。周囲に「教材」があふれているのだ。
 一期一会ではないが、私が彼らと顔を合わせるのは、もうこの先ないだろう。一風変わった地元出身のおじさんが来校してギャグ満載の話をしてくれたといった程度の印象で終わるのかもしれない。それでも、「本を読め」と言われたことが、彼らの記憶に一瞬でも残ってくれればと思う。
 彼らが銀鏡のことを記憶に留めておいてくれれば、古里にまた活気が戻る日がやってくるかもしれない。それはあの谷で山で育った私の先輩、同輩、後輩たちが等しく願っていることであると私は確信している。そうした「米良っ子」たちは口に出して言う機会こそないが、心の中では必ず思っているはずだ。「みんな、ありがとう」と。
 (写真は、母校で催された私の講演会で耳を傾ける生徒たち)

Comments:2

やすよ 2014-11-06 (Thu) 01:25

銀上学園のHPで拝見していました。

写真の生徒たちの表情の なんと爽やかなこと!

好きなことがある幸せ。夢を描けることの幸せ。 
省一先輩と出会って、この先「頭の中で一致する場面」がきっと来ることだろうなあと思いました。

「みんな、ありがとう!」。

nasu 2014-11-06 (Thu) 12:35

やすよさん いい写真でしょ。講演が終わって、何気なくデジカメのシャッターを一回押しただけでしたが、ブログにアップして拡大して見て、初めていい写真が撮れていたことに驚きました。被写体がいいとカメラマンの腕は悪くとも、素晴らしい写真が撮れるといういい見本ですね。      省一

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