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真相はまだ不明

  • 2014-08-24 (Sun) 10:01
  • 総合

 先週も国内外で大きなニュースが流れた。広島市の豪雨被害は悲惨の一言に尽きる。土砂を浴びた住宅地は山裾まで開発の波が押し寄せていたことと無縁ではないようだ。山間部で土砂災害が起きると、伐採などで樹木が切り倒され、山の保水能力が落ちていたことに起因するケースがあるが、航空写真で見る限り、現地は緑豊かで今回は該当しないようだ。
 ただ、土砂災害が起きる時、あふれる土砂が流れ下る地形はあるかと思う。被害に遭った住宅はそういう流れの延長線上にあったのではないかと思うが、そういった報道はないので、よく分からない。これからそういう報道が出てくるのかもしれない。
 アメリカからはまた人種対立のニュースが報じられている。今度は米中部のミズーリ州が舞台。ファーガソンという市の住宅街で今月9日、18歳の黒人青年と白人の警察官が口論になり、警察官の主張によると、青年が拳銃を奪おうとしたため発砲し、青年が死亡。しかし、複数の目撃者の証言によると、青年は無抵抗を示すため、両手を上げていたといい、警察官は青年の頭部を含め少なくとも6発の銃弾を浴びせていたことも判明している。
 ミズーリ州は2011年の「アメリカ文学紀行の旅」で歩いた。文豪マーク・トウェインが多感な少年時代を過ごしたゆかりの地だ。トウェインが育った家などが残っている小さな町のハンニバルがお目当てだったが、当然のことながら、ミズーリ州を代表する大都市セントルイスにも足を運んだ。ミシシッピ川を遊覧する観光船「トム・ソーヤ―号」に乗ったことなど、楽しい思い出が脳裏に浮かぶ。町を歩いていても、人種間の緊張は全然感じなかったが、地区によっては水面下で鬱屈とした感情が渦巻いていたのだろう。心地好く滞在したミズーリ州で起きた出来事だけに意外の感が強いが。
 事件が起きたファーガソンはセントルイスの郊外にある人口2万1000人程度の市で、かつては白人が圧倒的に多い居住区だったという。だが、セントルイスを脱出する形で黒人住民が押し寄せるようになり、今では黒人住民が7割を占めるように変遷しているとか。ただ、市の警察官53人のうち50人が白人であり、白人層が行政司法を仕切り続けている現実とのギャップが人種融和を阻害し、黒人の被差別意識を助長している可能性をメディアは指摘していた。
 事件後、ネットで米国のメディアにアクセスして調べてみると、白人と黒人でこの事件に対する受け止め方も大きく食い違っていることが分かる。全米で行われた世論調査では、黒人の大多数が米国の人種問題を象徴する事件ととらえているのに対し、白人の半数は人種的要素を強調することに否定的な回答を寄せている。
 事件そのものの真相もまだ不透明だ。黒人青年が丸腰だったことは間違いないようだが、射殺した白人警察官に同情する人々の間では青年が威嚇的に突進してきたため、警察官は拳銃で応戦せざるを得なかったと見ているようだ。
 PBS(公共放送協会)のニュースサイトでも、事件の真相はまだ藪の中といった印象だ。コメンテーターの一人は “The question of whether justice is done will really depend on what facts are brought forward.”(事件が正しく裁かれるかどうかはどのような事実関係が明らかにされるかどうかにかかっている)と語っている。まさにその通りだろう。

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