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方向音痴は「路痴」

  • 2022-06-07 (Tue) 10:07
  • 総合

20220607-1654563903.jpg 先週の公民館中国語教室で「方向音痴」が話題になった。典型的方向音痴である私にはとても興味のあるテーマだ。これまでにもブログで何度か書いたような記憶がある。コンプレックスとまでは言わないが、全然改善しないのはやはり気が引ける。建物の中の一室に入ったりすると、玄関がどこだったかつまりどこから入ってきたのか分からない。要するに東西南北の感覚を持ち合わせていないのだ。
 とはいえ、神様に芳香音痴か方向音痴のどちらかを選べと迫られたら、迷うことなく方向音痴を選択するだろう。(芳香音痴という語があるかは知らないが)。方向音痴は中国語では「路痴」もしくは「路盲」ということを教えてもらった。どちらの語彙も漢字を見れば、なんとなく意味合いは類推できる。私は「路痴」を取りたい。韓国語ではなんというのだろうと調べると「길치」(キル)という語が出てきた。これも韓国語をかじっていれば何となく納得がいく。「길」は「道」の意。音楽は「음악」だから「音痴」は「음치」(ウム)だ。
 過去のブログで方向音痴であることを嘆いた時、どのようなことを書いていたのかスクロールしてみると、次のような文章があった。2020年11月の項だ。 
――ところで、私はこの料亭に着く前にだいぶ道に迷ってしまった。私は以前にも書いたかと思うが、並外れた方向音痴だ。恥ずかしながら地図が読めない。よくこれでアフリカやヨーロッパで一人で初めての土地を訪ね、取材活動ができたものだと今にして思う。ネットであらかじめ場所を検索して最寄り駅からの大体の方向を頭に入れる(入れたつもりになる)。実際に歩き始めると大体正反対の方向に歩んでいることが多い。実人生でも方向音痴の生き方をしているのではないかと痛切に憂えることがある。嗚呼!
 ところで英語では方向音痴を的確に表現する表現はないようだ。辞書を引いても、I have no sense of direction. といった表現が出てくる。中国語ではどういうのだろうとネットで検索すると、路痴という語が出てきた。これなら発音はともかく、意味は何となく正しく推察できるような気がしないでもない。
―― 
 なんということだ。「路痴」と書いているではないか。すっかり忘れていた。痴呆症の初期症状を呈しつつあるのだろうか。痴呆症は中国語では「痴呆症」。簡体字での表記は覚えている。ピンイン表記も大丈夫。しかし、声調は自信がない。chīdāizhèng。平らに平らに発声して急に下がる・・。これをずっと記憶するのは(私には)容易ではない。
 ところで、最近では「人間音痴」という言葉もあるらしい。社会生活で他人との距離の取り方が分からないとか普通の接し方ができない人を揶揄った表現のようだ。こうした烙印を押されては辛いだろう。これを中国語に訳そうと「人间」と書き、その後に「音痴」ははて?と思案したが、後が続かなかった。「音痴」は「五音不全」と言うらしいので、日本語の人間音痴をそっくりスマートに中国語に翻訳するのは無理なようだ。「人间」という表現そのものが中国語では「現世」「人間社会」を意味し、「人间地狱」と書けば「この世の地獄、生き地獄」を指す表現とか。
 ウクライナ東部でロシア軍の無慈悲で残忍なロケット攻撃にさらされている人々はまさに今、「人间地狱」(rénjiān dìyù)にあえいでいるのだろう。言葉もない。

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