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温故知新

  • 2022-02-17 (Thu) 11:18
  • 総合

 冬季五輪。日本の金メダルは2個。これも金メダルは確実なんだろうなあと思いながら、仕事帰りの電車の中でスマホのNHKラジオの生中継に耳を傾けていた。団体追い抜きと呼ばれる女子パシュートだ。テレビで見ていると、しのぎを削る2つのチームの速い、遅いが画面から手にとるように分かる面白い競技だ。決勝の相手はカナダチーム。日本チームは連覇がかかっている優勝候補だから、安心して聴いていた。
 期待通り終始カナダを抑え、リードを奪っていた。3個目の金メダルだなと思っていたら、最後のコーナーであろうことか、最後尾を滑っていた選手が転倒した(ようだ)。解説の女性が何か叫んでいるが、いずれにしろ、転倒してしまっては逆転負けだ。ラジオ放送だけに詳しい事情は分からない。解説者は遅れていたカナダチームが迫ってきてはいるが、最後尾の選手はフォームが乱れ始めているようなことを言っており、まあ、大丈夫だろうと思っていた矢先の転倒!
 解説者も男性アナも連覇がならず、銀メダルに終わったとはいえ素晴らしい成績であり、祝福したいとかなんとかしゃべっている。その通りではあろうが、何とも後味が悪い。敗色濃厚の中での転倒だったら、諦めもつくだろうが・・・。
                  ◇
 毎月第1,3水曜日の午後、小倉駅前のビルで行っている英語教室。受講生は一人だが、英会話の基礎から文法まで楽しく教えながら学んでもいる。昨日の教室が終わった後、受講生が古びた中国の新聞をくれた。以前に中国を旅行した時に持ち帰ったとか。私が中国語を学んでいるので、役に立つかと思い、持って来て頂いたようだ。
 現地発行の英字新聞も含まれていた。「CHINA DAILY 中国日報」。日付を見ると2009年12月19日。13年前の新聞だ。ネットで検索すると、この新聞は中国共産党中央宣伝部が保有する英字日刊紙と紹介されている。パラパラと紙面をめくってみた。一面はオバマ米大統領(当時)と中国の温家宝首相(同)がコペンハーゲンでの地球温暖化問題を討議する国連の会議に出席した際に二人だけで会談している写真が掲載されている。
 興味深く読んだのは社説と思われる欄で、上海の大学院で学ぶ女性の院生が自死したことを憂える記事だった。詳しい事情はこの記事だけではうかがい知ることはできないが、貧しい母子家庭で育った彼女は大学卒業後も希望する仕事に就くことができず、7年経過して大学院で更に学ぶことを決意。退職した母親はどうやら娘がただ一人の頼りだったようで、彼女は大学の寮に母親も呼んで一緒に暮らすことを望んだ。しかし、大学側にこれを拒絶され、絶望の果てに自死を選択したようだ。次の一節、何度も読み返した。
 Had the university showed enough concern for the difficulties this student faced, she would not have chosen to end her life. Now, universities and other sectors should try to do something to help those on the verge of being reduced to sheer despair before it is too late.(大学がこの学生が直面していた困難に十分配慮していたなら、彼女は自死を選択していなかっただろう。諸大学や関係する当局は事態が収拾不可能になる前に絶望の極に瀕しつつある若者に助けの手を差し伸べるべきだ)。この訴えが今も息づいていることを祈りたい。

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