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頻出する「那」

  • 2021-09-24 (Fri) 13:38
  • 総合

 オンラインの英語教室で英国の作家、カズオ・イシグロの近作 “Klara and the Sun” を読んでいることは何度か書いた。毎回20頁前後をゆっくり読み進めているので、今週末、Part3に入る。私はこの小説を5月末に読み終えていたが、月2回の英語教室のために今も時々部分的に再読している。やはり、再読すると改めて気づくこと、読み落としていたことがあり、興味深い。
 不治の病であるかのような病気で伏せっているヒロイン、ジョージーを何とか健康体に戻したいと願う母親。ジョージーの家に買われた優秀なロボ友(AF=Artificial Friend)のクララ。母親はなぜか、クララと二人切りの時に娘にどれだけそっくりの言動ができるか試す。観察力の鋭いクララは母親が驚くほど娘に似せた物言いを披露する。その上でクララ(ジョージー)は母親に語りかける。‘There’s special help coming. Something no one’s thought of yet. Then I’ll be well again.’
 私は一読した時にはこの special help のことはあまり深く考えなかった。今再読していて作家がこうした筋立てを考えた意味合いが少し分かるような気がしている。パソコンに残している読書ノートに「2005年の “Never Let Me Go” をほうふつとさせる小説だった」と書いているが、今はちょっと違った印象を抱いている。それは・・・。英語教室で読み終えた時点で改めてこのことについて触れたいと思う。
                  ◇
 区役所から納税通告書が届いたことは先に書いた。それで遅ればせながら税務署に確定申告に出かけるつもりであることも。先日、過去5年間の申告を済ませた。私が持ち込んだ書類を職員の方が親切に見て、パソコンの画面で処理してくれた。思った以上に税の戻りがあった。予期していた額の5倍程度はあったかと思う。レストランでの豪華な食事はもちろんのこと、コロナ禍が終わった際の台湾の旅にも活かすことができる額だ。有り難い。
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 中国語を学び始めたばかりの頃。「那」という字がしょっちゅう出てくるのが嬉しかった。私の名字の字だからだ。日本語の文章で「那」という漢字を目にすることは皆無に近い。中国語では「あの」「その」「あれ」「それ」といった代名詞として頻出する。「それでは」という意味の接続詞としてもよく出てくる。
 名前の「省」はあまり遭遇しない。「反省する」を辞書でひくと、「反省」という語が見える。ピンイン表記だと fǎnxǐng。「省」(xǐng)だけでも「反省する」という意味となるようだ。省エネとか省略するという意味では同じ漢字だが、発音(ピンイン表記)が異なるようで、shěngとなる。これまでこの意味でこの語に出合ったことがなかったが、NHKラジオ講座でようやく巡り合った。次の例文の中で出てきた。
 「並ばなくてもいいようにあらかじめネットでチケットを買っておきなさいよ」という例文。中国語では「你提前在网上买票吧,省得排队」だとか。「省得排队」が「並ばなくてもいいように」。「排队」が「並ぶ」で「省得」が「~しないでいいように」という語句らしい。こういった表現を自由自在に操れるようになれるといいなと心から願う。

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