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『英語独習法』

  • 2021-02-23 (Tue) 12:50
  • 総合

 新型コロナウイルスの日々の感染者数が段々と減少しつつあるように見える。収束に向かっているのだろうか。宮崎は昨日はゼロ発表だった。いいぞと思うが、またぞろ第何波か知らないが、再流行の可能性もあるのだろう。油断は禁物か。嗚呼、台湾に旅することができるのはいつのことやら。いや、それより大事なことは早く宮崎の実家に戻り、父母兄姉たちの墓に手を合わせることだ。
 私はいつも食卓を前にすると、亡き母や姉のことを想い、心の中で感謝の言葉をつぶやいてはいるが、もう一年以上も墓に参っていない。このままでは罰があたりそう。
                  ◇
 新聞の書評欄で目がとまった新書があった。図書館に問い合わせると、貸し出し中でウエイティングリストに25人だかの名前が連なっているとか。いや、そんなには待てない。近くの書店で取り寄せてもらい購入した。
 『英語独習法』(今井むつみ著・岩波新書)。2020年12月に第一刷が発行されたばかりの文字通りの新書だ。著者の今井氏は認知科学、言語心理学を専門とする慶応大環境情報学部教授。書評欄では著者は「人間はいかに学習していくか、特に、子どもが母国語を習得する過程を研究してきた認知科学者である。我々の認知の仕組みから、英語学習の合理的な学習法を提案したのが、『英語独習法』だ」と紹介されている。
 第7章の「多聴では伸びないリスニングの力」に興味深い記述があった。要約すると、世界中の赤ちゃんは生後すぐはすべての言語で区別される音をもれなく区別することができるが、乳児期を過ぎるとそれは難しくなる。日本人の赤ちゃんでも例えば英語のr、lという大人の日本人が苦手とする二つの音の聴き分けができる。しかし、日本語にはrとlの区別はない。母語で必要のない音の区別をし続けると、その分、他の必要な情報に注意を向けることができにくくなるので、母語に必要な音の区別だけを残し、音素を効率よく区別できる情報処理のシステムを構築する。それゆえ大人の日本語話者は、rとl、bとvなど、日本語にはない英語の音素がうまく聴き分けられないようになるのだという。
 認知科学の専門家の指摘は拝聴に値する。著者は次のように訴える。英語の達人を目指すなら、やはり語彙力を充実させることが不可欠。それには多読や多聴は向いておらず、日本語と英語の言語的な違いを認識しながら英語習得に適した「スキーマ」を充実させていくことが大切なのだという。「スキーマ」というのは「認知心理学の鍵概念で、一言でいえば、ある事柄についての枠組みとなる知識であり、知識のシステム」だと説明されている。氷山に例えれば、水面下にあり、「非常に複雑で豊かな知識のシステム」である。外からはその姿は見えない。「もっていることを意識することがない。ほとんどが意識されない。意識にのぼらずに、言語を使うときに勝手にアクセスし、使ってしまう。子どもや外国の人がヘンなことばの使いかたをすれば、大人の母語話者はすぐにヘンだとわかる」のも、このスキーマを有しているからだという。とてもありがたいスキーマだが、喜んでばかりはいられない。
 なぜか? それは次項で述べたい。窓の外を見ると、本日も昨日に続き、好天だ。日が陰る前に香椎浜の散策を楽しみたい。

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