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Who's won after all?  その5

  • 2020-11-17 (Tue) 20:47
  • 総合

20201117-1605613555.jpg 米大統領選。私はこの国の政治の現場で取材した経験がないので分からないことが多々あるが、米国は本当に先進国なのかと首を傾げたくなる。大統領選の投開票から二週間が経過しているのにまだ誰が当選したのかが「決着」していない。いや、事実上、決着しているのだろうが、敗れたはずのトランプ大統領はいまだに自分の敗北を認めようとしていない。トランプ氏の個人的資質の問題ゆえの混迷であるのだろうが、制度として明確に選挙戦に終止符を打つことができないとは信じ難い。
 トランプ氏はかつてアフリカや中南米の途上国を “shitholes”(糞だめ:失礼。私はそうは思いません。トランプ氏がそう呼んだのです!)と罵倒したことがあるが、連日CNNテレビを始め主要メディアが当選したバイデン氏への政権交代をスムーズに進めるべきと訴えているにもかかわらず、選挙には不正があった、自分が本当は再選されたのだと言い続けることが許されるような国こそ “shitholes” かもしれない。
 CNNを見ていると、オバマ前大統領の露出が最近、増えている。彼はトランプ氏に敗北を潔く認め、バイデン氏への政権交代を滞りなく可能にするように諭している。彼の言葉を聞いていると両者の人格・人間性の大きな落差を感じざるを得ない。“Presidents are not above the rules. We’re not above the law, that’s the essence of our democracy.” トランプ氏にオバマ氏の爪の垢を煎じて飲ませたいと思うが、果たして海の向こうにもそういう飲み物があるのかどうかは知らない。もっともこっちにもあるかどうかは知らないが・・。
 不気味なのは来年1月20日に退任が定まったトランプ大統領がまるで断末魔のもがきか、外交・軍事の場でも愚挙に出ようとしていたと報じられたことだ。ニューヨークタイムズ紙によると、大統領は先週、イラン国内の核施設への攻撃を考えたが、戦火の拡大を懸念した側近らの反対で断念したという。バイデン氏へのバトンタッチまでまだ2か月も残っている。トランプ氏が大統領としてのレガシー(legacy)を残そうと、あるいは新政権の足かせにしようと、常軌を逸した行動に出ることがないように祈りたい。
 トランプ氏がもっと積極的に行動すべきなのは国内で悪化の一途のコロナウイルス対策だろう。週末だからといって、ゴルフに興じている余裕などないのではないか。それにしても不思議なのはトランプ氏の無策を糾弾する人々がいる一方で今なお、彼を熱烈に支持してデモ行進まで厭わない多くの人々がいることだ。
 トランプ氏のただ一人の姪で反トランプの急先鋒、メアリー・トランプ氏(55)がカナダのテレビ局のインタビューに応じていた。そこでも手厳しい大統領批判を繰り広げていた。曰く、大統領選で7,200万人もの有権者が彼に投票したことは米国にとってdisgrace(恥さらし)であり、今後も長く残るstain(汚点)であること。彼は10億ドルもの借金を抱えており、大統領の座を去ったら、さまざまな債務・訴追に苛まれること。それ故に今の醜態をさらしていること。彼はすでにlame duck(実権を失った)であり、国民は彼を無視すればいいこと。彼は臆病者であり、コロナ禍の現実に恐怖を覚え、うろたえていること。共和党は一日も早くトランプ氏に見切りをつけるべきこと・・・。強気の姿勢を崩さないトランプ氏が本当はただならぬ「窮地」にあることが垣間見えたような気がした。

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