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Who's won after all?  その3

  • 2020-11-09 (Mon) 19:32
  • 総合

20201109-1604917892.jpg 新しい週が明けた。昨日は米CNNテレビでバイデン氏が大統領選で遂に勝利が確定し、来年一月に新大統領に就任することが決まったことを歓喜する米国民の姿を見た。バイデン氏が副大統領となるハリス氏とともに地元のデラウェア州で勝利を宣言するスピーチを聞いた。トランプ大統領との選挙戦で国民の間に激しい亀裂が深まったことを念頭に国民融和を訴えていた。御年77歳のバイデン氏はすがすがしい表情をしていた。米国を再び世界から尊敬される国にするというスピーチの内容も良かった。私でさえいいと思ったのだから、嬉しく思った米国民はさぞ多かったことだろう。
 トランプ氏の敗北が事実上決定したことでCNNの各キャスターの表情もやや緩んでいるように見えた。もっともバイデン氏は大統領選史上最大の7400万人の票を獲得し、選挙人の数でもトランプ氏を圧倒しているとはいえ、トランプ氏も実に7000万人もの票を得ている。トランプ氏のような人物が今なお、7000万人もの国民の支持を得ている現実を考えると心中複雑になる。トランプ氏のどこが彼らにアピールしたのか。
 共和党の重鎮、ブッシュ元大統領はバイデン氏に祝福のメッセージを表明したが、肝心のトランプ氏は一向に敗北を認めようとせず、バイデン氏への祝福の電話もかけていないとの由。予想されたこととはいえ、あまりの潔さのなさ、歴史に名を残す後味の悪い大統領選となることは必至の情勢だ。さらに失望の念を深くするのは共和党内の指導層、幹部から大統領を諫める発言が皆無なことだ。
 昨日就寝する直前にCNNテレビをつけると、かつては共和党の大統領候補だったミット・ロムニー上院議員が出ていた。彼はトランプ氏とは距離のあることで知られる穏健派。何を言うのだろうと見ていると、彼が口にした次の言葉が興味深かった。“You’re not going to change the nature of President Trump in these last days apparently of his presidency. He is who he is. He has a relatively relaxed relationship with the truth. He’s going to keep on fighting until the very end.”
 トランプ氏は最後まで自身の勝利の幻想を捨てきれず、法廷闘争などありとあらゆる手を打ってくるということか。“He has a relatively relaxed relationship with the truth.” なるほど言い得て妙な表現だ。真実(truth)に対して厳粛ではなく relaxed(くつろいだ)とらえ方をする。つまり真実は真実として、ちょっとした嘘は許されるのではと考えている。そう思わざるを得ないトランプ氏の言動を揶揄しているのだ。新聞社のロンドン支局に勤務していた昔、英国のとある議員が虚偽の発言をしたのではという疑惑をかけられた際、いや嘘を言ったのではない、自分はただ “being economical with truth” だったのだと詭弁を弄したことを思い出した。この種のrelaxや economical は決して許されないだろう。
 さあ、今後、トランプ氏はどのような手に出るのだろう。必死こいて激戦区で選挙不正があったとしてバイデン氏の勝利を無効にする挙に出るのだろうか。納得のいく証拠が提示できなければ一蹴されることは必定。以前にも書いたが、彼の脳内には a good loser という概念は微塵もないようだ。多くの人々がアメリカ人に対して抱いているフェアプレー尊重のイメージからは宇宙の彼方ほど乖離した人物であるらしい。

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