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マーガレット・ミッチェル(Margaret Mitchell)③

  • 2011-10-29 (Sat) 06:37
  • 総合

 『風と共に去りぬ』にまつわる記念館はアトランタ以外にもある。南に約30キロ走ると、ジョーンズボロという町があり、ここに “Road to Tara Museum” という名の小さな博物館が立っている。『風と共に去りぬ』の小説、映画に関するアイテムのコレクターで知られるハーブ・ブリッジズさんが長年かけて収集してきたものが展示されている。
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 この町に乗客を乗せる列車が走っていたころの駅舎を活用した博物館だ。電話で連絡していたので、ハーブさんがにこやかに出迎えてくれた。82歳。かつては郵便関係の仕事に就いていたとか。
 一説によると、“Gone with the Wind” は今なお毎年25万冊以上が世界各国で(翻訳)出版され続けており、これは聖書に次ぐ数字だという。博物館ではそうした各国での出版本や、映画で使われた衣装、南北戦争関連の品々などが展示されている。ハーブさんがかかわり、日本の某有名デパートが日本全国で催した展示会のポスターも目についた。
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 映画でおなじみのスカーレットの等身大の写真も展示されていた。今回初めて知ったのはスカーレット役の女優、ビビアン・リーが意外と小柄だったことだ。等身大の写真と向き合ってみると、私の方がほんの少し背が高い。ますます「好感度」を深めた。そう言えば、アトランタの「マーガレット・ミッチェル邸」の受付にいた女性スタッフが「彼女は5フィート3インチぐらいだったかしら」と語っていた記憶がある。私は5フィート4インチぐらいだから、計算は合う。彼女のあの生気にあふれた演技は日本人女性でも今では小柄な部類に属する体から発せられていたのだ。
 一通り見学を終えた後で、ハーブさんに尋ねた。
 「いつごろから、収集されたのですか?」
 「1960年代末です。私もジョージア州生まれですから、地元の作家の作品が世界中で脚光を浴びるのに興味を覚え、映画にまつわる品々を含め、集め始めました。このように一般に公開するようになったのは80年代末からですが」
 「私は小説を読んでいて、登場人物が黒人を猿扱いしている発言やKKKに関する記述に正直驚きました。黒人社会から見れば容認できない表現ではないでしょうか?」
 「それはその通りでしょう。ただし、彼女があの作品を執筆していた当時はああいう表現が当たり前だったのです。何の不自然さもなかったのです。私はあの作品をそうした歴史を踏まえて読んで欲しいと願っています」
 ハーブさんの博物館の名前にもなっている「タラ」という地名は作家が考え出した架空の地に過ぎない。博物館の周辺はのどかな雰囲気で、なるほど「タラへの道博物館」と名乗るのにふさわしいと思った。残念なのは旅客列車やバスの便が一切なく、私のような観光客には来訪するのが一苦労することだ。
 (写真は上が、展示品を前にしたハーブさん。博物館自体は地元のクレイトン郡観光局が運営している。下が、展示されている映画や劇のポスターの数々)

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