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銀鏡夜神楽

  • 2014-12-17 (Wed) 10:58
  • 総合

20141217-1418781407.jpg 先週日曜日、一泊で宮崎の田舎に帰省した。毎冬恒例の銀鏡神社の夜神楽見物だ。枯れ木も山の賑わいとなるべく、少し無理して足を運んだ。福岡を出たのが午後5時頃。例によって九州新幹線と高速バスで宮崎に午後8時過ぎ着。そこから仕事を終えたばかりの甥っ子の車で山里へ。
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 銀鏡神社に到着した時は夜神楽も佳境に入りつつあった。ご祝儀袋を出して、座に上がり、頂いた折詰を肴に、縁越しに見える神楽を見やりながら、軽く一二杯。今は地区外に転出している懐かしい顔が幾人も見える。私は子どもの頃とほぼ同じ容貌なのですぐに分かるようだ。さあ、まだ夜は浅い。神楽を舞う地元の人たちは夜通し舞うのだ。夜神楽の笛太鼓は独特の音色だ。「うーん、これだ、これ。商業主義に毒されていない、垢のついてない神楽」などと感嘆しながら、勧められるままに湯呑み茶碗で焼酎をやっていると、向こうの障子がすっと開いて、毛糸の帽子をすっぽり被った初老の男性がこちらを見つめる。
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 地元で見知った顔ではないので、気にもとめずにいると、何だか私に向って微笑むではないか。「あれ、俺の知っている人かな。はてさて・・・」。脳をフル回転させて田舎の昔の記憶の糸を手繰り寄せるが、ヒットしない。とその人物が私のところに近づき、何やら言葉をかけられた。何と言われたのかは咄嗟には分からなかったが、その声を聞いてすぐに疑問氷解。「あ、O先生だ」。いやあ、奇遇ですね。でも、何でまたここまでいらしているのですか?
 O先生は私が紅顔の美少年の宮崎大学学生だった頃の英語科の恩師。もちろん今では退官されているが、親しい友人たちと句会を作っていて、この日は吟行会で銀鏡の地まで訪ねてこられたとのこと。なるほど、ここなら、吟行会にはまさに打ってつけの地ですからね。O先生の他にもT先生もいらしているということで、吟行会参加の一行に挨拶する一幕となった。O先生たちは寝袋持参で車座になって夜神楽を見学されていた。
 挨拶を済ませて、地元の人たちの座に戻り、また焼酎を傾けながら、今度は地元出身の人たちと歓談。だいぶ焼酎を飲んだ。今この項をアップしながら、記憶が怪しい。同じ集落出身のT君とはほぼ半世紀ぶりの再会。私より三つか四つ年下のT君には最初全然気づかなかったが、彼の名前が呼ばれた折にふいに記憶が蘇った。「あ、思い出した。あのT君か。集落の子供の行事の時、皆の前でよく歌を歌っていたT君だ。田舎では普通は恥ずかしがって人前では歌など歌わないものだが、T君は恥ずかしがることなく堂々と歌っていた」ことを懐かしく思い出して、すぐに声をかけた。
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 最後の方はあまり記憶がない。幼馴染で地元に嫁しているJちゃんと神楽はそっちのけで、別座の囲炉裏端で古里の味が染みた売店の三菜蕎麦を食べ、さらに焼酎をあおり、甥っ子の車で長姉の家に向かった(ようだ)。甥っ子は幸い、飲めない口なので、運転は大丈夫。
 長姉の家で布団にもぐり込んだ時は午前5時近かっただろうか。寒いなあと思いながら、翌朝目覚めると午前10時過ぎ。おお、こんな時間まで寝ていたのか。早く神社に戻らないと、銀鏡夜神楽に欠かせない、昔の狩猟の生活を伝える「ししとぎり」が始まるではないか。そんなこんなで疲労困憊になりながらも、大学の恩師とも再会し、楽しい夜神楽見物だった。
 (写真は、上から、夜神楽と翌日のししとぎり、O先生との邂逅、神社から望む故郷の山々)

Comments:2

Okabayashi 2014-12-23 (Tue) 16:20

先日は驚かせてしまいましたね。私の方は那須君の帰巣本能は既に承知の上のサプライズでした。来年もまた銀鏡に行くことを考えています。その夜はほとんど徹夜状態でしたが、翌日は夜7時から翌朝5時まで爆睡できました。お陰様でその日から不眠症が完全に治りましたよ。銀鏡神社の御利益に感謝です。いや那須正一君に!

nasu 2014-12-24 (Wed) 09:20

O先生 コメントありがとうございます。そうですか。あの神楽のファンがまた一人増えて嬉しい限りです。親族に不幸がない限りは私も毎年参るつもりです。先ほどイギリスのグラハムさんから恒例のクリスマスメールが届いたので、返信にマユミさんが興味深く見るかと思い、送って頂いた写真を添付しました。私たちの区別はつくでしょう。那須省一君からでした。

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