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「躺平」

  • 2021-06-11 (Fri) 13:53
  • 総合

 寝苦しい夜が続いている。テレビでは熱中症予防にはクーラーの積極的使用を呼びかけているが、いくらなんでもまだ6月の初旬(中旬)。去年はいつクーラーのスイッチを入れたのかブログにも手帳にも記していないが、一昨年は7月23日にスイッチを入れたことをブログに記している。まだ一か月以上も先だ。今夏はとてもそれまで我慢できそうにない。地球温暖化はかくほど日本列島を熱波であおっているのだろうか。あな恐ろし!
 何度も書いているが、私の部屋は西日が凄く、夕方からソフトサウナ状態となる。サウナは嫌いではないが、普段の生活の場がサウナ状態と化すのは御免こうむりたい。
                  ◇
 パソコンでふとした弾みに中国語の「躺平」という語に行き当たった。「躺」は日本語では見かけない漢字だが、中国語(簡体字)では以前に出合った語であることを覚えていた。「砂浜に横たわりギターを弾いている」とかいうような表現だったような。「躺」という見慣れない漢字が「横たわる」という意味だった。「躺平」なら「平らに横たわる」「寝そべる」ぐらいの意味かと類推できる。この「躺平」という語が今の中国ではやり言葉だという。参考までにこの語のピンイン表記はtǎngpíngであり、乱暴にカタカナ表記するとタンピン。
 ネットの情報だとこの「横になる」という意味合いの「躺平」が今中国の若者に蔓延している現象で、具体的には結婚しない、子どもを産まない、家や車を購入しない、生活を維持する最低限の仕事しかしないという生き方を意味するとか。親や世間が求める型どおりの人生を歩むことを拒絶。先行きに希望が持てない現在の状況への失望感を表現しているのであろうか。共産党政権への無言の抵抗と受け止める向きもあり、事態を重視した共産党機関紙で非難されたとか。
 中国のことは知らないし、分からないが、私は自分の青春時代、学生時代を思い出した。学生時代を過ごした1970年代は高度成長末期で経済もまだ右肩上がりだったのだろう。就職難という言葉はあまり耳にしなかったような。当時はやっていた言葉に「モラトリアム人間」というのがあった。今ネットで調べると「年齢では大人の仲間入りをするべき時に達していながら、精神的に大人社会に加われないでいる人」を意味すると説明している。私の学生時代は学生運動の火が消え、誰もが企業戦士になることを厭わず、モーレツ社員という言葉も生まれていた。
 私は同期の圧倒的大多数の者が卒業して就職する中、なぜだか留年を繰り返し、同期の連中に比べ3年も道草を食って25歳で卒業、社会人となった。新聞社の支局に入ると、1年先輩、3年先輩の記者は同じ年齢であり、少々複雑な心境となったことを覚えている。当時結果的に「モラトリアム人間」のような日々を過ごしていることに特段の恥ずかしさはなかった。そういうことが可能だったのも、部屋代月2000円の格安下宿に住み、たまのバイトで仕送りゼロの学生生活ができたからだが、そういう愚かな私を黙って見守っていた亡きお袋や長兄に済まなく思う。遅かりし由良之助だが。
 話が横道に逸れたが、中国の若者の間で流行の兆しがささやかれている「躺平」が一過性の現象で終わるのか、その先に何か新しいものが芽生えるのか。

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