Home > 総合 > セオドア・ドライサー(Theodore Dreiser)②

セオドア・ドライサー(Theodore Dreiser)②

  • 2011-08-25 (Thu) 02:02
  • 総合

 ”An American Tragedy” の最初の舞台はミズーリー州のカンザスシティ。貧しい街頭説教師の家に生まれたクライドは少年時代から自らも街頭説教の一員として街頭に立たされ、讃美歌を歌わされる。彼はそういう暮らしが嫌でたまらず、華やかな都会に出て豊かな暮らしを手に入れることを夢見る。全く付き合いのない自分の伯父がニューヨーク州のライカーガスで大きな衣服工場を経営、裕福な社会階層にあることを知る。シカゴのホテルで働いている時、偶然にその伯父と出会い、やがて彼の工場で勤務するようになる。
null
 次の描写は、貧農の出の美少女、ロバータが豊かな生活を夢見て、クライドが勤務するライカーガスの工場で働くようになり、自分の境遇を思う場面だ。
 For there was a local taboo in regard to factory girls aspiring toward or allowing themselves to become interested in their official superiors. Religious, moral and reserved girls didn’t do it. And again, as she soon discovered, the line of demarcation and stratification between the rich and the poor in Lycurgus was as sharp as though cut by a knife or divided by a high wall.(工場で働く少女たちが職場の上司に憧れを抱いたり、興味を覚えたりするのは、この地域ではタブーだった。宗教を重んじ、貞節を大切にするよう育てられ、控え目に振る舞うことを求めらてきた彼女たちがそうした行動に出ることはなかった。ロバータはまたほどなく、ライカーガスでの貧富の差は明確に区分けされ、階層化されており、それはまるでナイフで鋭利に切り裂かれたか、高い壁で遮られたかのように歴然としていることに気づくのだった)
 クライドはお金はなくとも、経営者の甥であることや見てくれの良さから、ライカーガスの社交界で出入りすることが許されるようになり、やがて、自由奔放に生きる資産家のお嬢様で女性としての魅力にもあふれたソンドラと出会い、熱情的な恋に落ちる。クライドはソンドラが象徴する富と権力に酔いしれ、ロバータを捨てることを決意する。しかし、この時すでにロバータはクライドの子を宿していた。
null
 ソンドラもやがてクライドに惹かれていく。彼女の母親はクライドの出自を疑問視、その交際に不快感を隠せないが、ソンドラはクライドとの結婚を意識するまでになる。ロバータが重荷になったクライドは身重の彼女を人気のない山中の湖のボート遊びに誘い、溺死での殺害を企てる。優柔不断の塊のようなクライドは直前に犯行を思いとどまるが、彼の苦悶の表情を見たロバータは思わず、クライドに寄り添おうとして動き、それを阻止しようとしたクライドの行動があだとなり、ボートは転覆、ロバータは水中に落ちる。泳ぎの得意なクライドは金槌(かなづち)のロバータを助けようと思えばできたであろうが、助けることなく、ロバータは溺死する。
 (写真は上が、午後5時過ぎのシカゴの中心部。仕事を終え、帰宅を急ぐ人で結構混雑していた。下は、その近くの広場で見かけた巨大なマリリン・モンロー像。今夏お目見えした展示期間限定のアートとか。多くの観光客が彼女の「足元」で記念撮影に興じていた)

このアイテムは閲覧専用です。コメントの投稿、投票はできません。

Home > 総合 > セオドア・ドライサー(Theodore Dreiser)②

Search
Feeds

Page Top