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セントルイスへ

  • 2011-08-05 (Fri) 09:10
  • 総合

 ガーデンシティを出て、東隣のミズーリー州の大都市セントルイスに到着した。例によって、アムトラックだ。これまでスムーズに来たので、アメリカの鉄道もやるではないかと思っていたが、いや、やはり「奥」が深かった。
 復路の切符はカンザスシティで購入していた。3日(水)の午後11時17分発。ホテルの親切な支配人が「夜10時過ぎには駅員が来るから」と言って送ってくれた。結論から言うと、「夏季休暇」なのか分からないが、駅員さんは最後まで来なかった。切符があるからそれはいいのだが、列車の遅れのアナウンス一つないから、これは困った。何と列車が来たのは、日付が変わった4日午前1時半だった。
 急ぐ旅ではないから、これぐらいの遅れは我慢しよう。もっと困ったのは、夜になっても決して涼しいとは言えない熱気が続く中、駅舎内には鍵がかかっていて入れない。飲料水の自動販売機がこうこうと光っているのが、窓から見えるのだが、どうすることもできない。それでもって、駅は町の外れにあって、しかもここは夜の9時を過ぎると、開いているお店は皆無に近い。自動販売機も探してみたが、見当たらなかった。スーツケースなどの荷物を無人の駅に残したまま遠くまで歩くことはさすがに出来かねた。
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 弱り目に祟り目で、ロサンゼルスで買った携帯電話がガーデンシティでは「圏外」。アメリカのど真ん中にいるのに!購入した携帯がきっと全米ではマイナーな会社なのかもしれない。おまけに、この日は久しぶりにプールで結構泳いだのと、夜にメキシカンレストランでスパイスをたっぷり効かせた夕食を腹一杯食べていた。の、のどが渇く。何か名案はないかと思案していたら、駅舎を囲む庭の端から芝生養生の水が飛び出してきた。小刻みに円を描くように水を噴霧していく「蛇口」を一瞬頭に浮かべた。
 しかし、やはり、「ミッドウエスト・ホスピタリティ」のカンザスである。ジェイムズという名の35歳の男性がカリフォルニアに里帰りしている妻を迎えにやって来た。私の「窮状」に気づき、車の中にあった清涼飲料水の大きなペットボトルをくれたのだ。お金を渡そうとしたら、「困った時はお互い様」と言う。列車が遅れたこともあり、そこから列車がやって来るまで、3時間余、彼とたっぷりお互いの人生について話した。
 今の妻とは再婚。最初の妻は2人目の子供を産んだ直後に精神を病み、生後間もない赤ちゃんを窒息死させた。裁判などで最初の子供は養子としてジェイムズの手元を離れた。もう、家庭をもつことはないだろうと思っていた4年前に、彼女と出会い、再婚を決意。女の赤ちゃんが2年前に生まれ、妻とは今も”madly in love”にあると語った。煙草はやるが、酒はやらない。語り口に真面目な性格がうかがえた。束の間の出会いをお互いに喜んだ。
 ようやく着いた列車から、私と入れ替わるように下車してきた妻子を彼がしっかり抱きしめるのを横目に、私は乗車した。また、今回も眠れそうにないだろうなと思いながら。
 (写真は、いや、それにしても、こんな広いプールは初めて。日本だったら、芋の子を洗うような混雑になるのでは。新学期が始まるのでこの14日で店仕舞いとか)

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