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リンカーンへ

  • 2011-07-16 (Sat) 11:32
  • 総合

 フレズノを出て、ネブラスカ州の州都リンカーンに来た。日本との時差は16時間から14時間に縮小した。ニューヨークがある東海岸との時差は1時間。
 ネブラスカ州と周辺の諸州はグレートプレーンズと呼ばれる大平原地帯だ。大抵の米国民にとってはその上空を一気に飛行機で通過してしまうことが多いので、時に”flyover country”と揶揄される、米国のど真ん中に位置する地方でもある。
 フレズノをアムトラックの列車で出たのが13日の午前7時。カリフォルニア州の州都サクラメントからカリフォルニアゼファーと呼ばれる大陸横断の列車に乗り込んだ。レールの点検中の区間もあったため、44時間余の長旅を経て、リンカーンに15日午前7時半ごろ到着。リクライニングシートとは言え、車中泊が2夜、こんなに長く列車に乗ったのは初めてのことだった。不運にもすぐそばに凄いいびきの乗客がいたりして、睡眠不足は否めない旅とはなったが、晴れやかな気持ちでリンカーンのホテルに投宿した。
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 一つには、シエラネバダ山脈やロッキー山脈の素晴らしい景観を楽しむことができたことがある。もう一つは旅は道連れというか、ラウンジカーと呼ばれる景観を楽しむことのできる場で少なからぬ乗客と気持ちのいいやり取りがあったからだ。
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 特に、隣同士となった女性客3人とはすっかり打ち解けて話ができた。アムトラックの電車は指定席はないようで、切符さえあれば、どこにでも座れる。相席を余儀なくされ、車掌の指示で空いていた席に腰を落ち着けたら、右隣の私より少し年上かなと思われる女性が「どちらまで?」。「ネブラスカのリンカーンまで」と答えると、通路をはさんで左の席に座ろうとしていた二十代の女性とその母親が口をそろえて、「あら、リンカーンなんてコーン畑だけで何にもないわよ。なんでリンカーンに行くんですか」。これが口火となり、母娘がユタ州のソルトレークシティで下車するまで、話に花が咲いた。
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 圧巻はロッキー山脈のGore Canyon(ゴア・キャニオン)と呼ばれる渓谷だった。ラウンジカーではコロラド州から国立公園のボランティアのガイドが乗車して、この路線の歴史や停車駅(町)の魅力などを説明してくれた。「これから皆さんがご覧になる景観はコロラド州へ来る観光客の2%しか目にすることのない貴重なものです」との由。これだけで乗車した価値があるというものだ。列車は段々と傾斜を上がり、最高部の渓谷では優に2700メートルを超える高度を走る。眼下にはこれだけの高さなのに水量豊かなコロラド川。ロッキー山脈を南北に走る分水嶺のcontinental divide(コンティネンタル・ディバイド)を過ぎると、確かにそれまで太平洋側だった川の流れが大西洋側になっていた。
 驚いたのは、これだけの高度の山岳にもかかわらず、時に緑豊かな沼地があり、線路沿いには結構人家があったことだ。ごく陳腐な感想になるが、アメリカは広い、自然も暮らしも豊かな国だということを実感した旅だった。
 (写真は上から、ロッキー川沿いの雰囲気のいい町。ダイニングカーで夕食。ユタ州の母娘とは仲良しになった。線路沿いまで迫っていたゴア・キャニオンの景観)

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