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米大統領選に思う

  • 2011-12-01 (Thu) 14:34
  • 総合

 今回の「アメリカさるき」は2012年の米大統領選を前に政権奪回を目指す共和党陣営の激しい選挙戦を目にする旅でもあった。新聞やテレビで連日、そうした選挙戦の一端に触れてきた。
 民主党は現職のオバマ大統領が再選を目指しているから「静か」だが、複数の候補者がしのぎを削る共和党の争いは賑やかである。取材する立場にないので細かなところは分からないが、つい先日まで、最終的には前マサチューセッツ州知事のミット・ロムニー氏とテキサス州知事のリック・ペリー氏の争いに落ち着くだろうと見られていた。
 ところが、ここに来て、もう過去の人と目されていた元下院議長のニュート・ギングリッチ氏の人気が急上昇、上記の二人を脅かすほどの支持を集め始めている。ギングリッチ氏は確かにクリントン政権時代にそのタカ派の手腕で名を馳せたものの、これまで共和党の有力候補と見なされることはなかったように思う。
 まあ、それにしても、大統領選の候補者になるのは大変なことである。メディアの執拗な取材攻勢もそうだが、いろいろな方面から「火の手」が飛んでくる。今その矢面に立っているのは、ピザレストラン経営から身を立てた黒人実業家のハーマン・ケイン氏。ケイン氏からセクシュアル・ハラスメントを受けたと3人の女性から告発され、「事実無根。証拠はどこにある?」と何とか切り抜けたと思われていたが、今度はケイン氏と過去13年間、不倫関係にあったと告発し、テレビ局の取材を受けた女性が登場する展開に。
 ケイン氏はCNNの生番組で「その女性は長年の友人。経済的支援をしたことはあるが、一切の性的関係はない。全くの誹謗中傷」と真っ向から否定した。しかし、番組が終了した直後、同氏の選対事務局サイドから、「ケイン氏のプライベートな生活は選挙戦とは無関係」と苦しい弁明の声明が流されるなど、ケイン氏はかつてない窮地に立たされている。
 一時、支持率調査で先頭を走る勢いのあったペリー氏も候補者のテレビ討論会で、「私は大統領になったら、三つの連邦省庁を廃止する。一つ目は商務、二つ目は教育、三つ目はええと、ええと・・・」と三つ目の省庁を最後まで思い出せない信じられない失態を演じるなど、頼りなさを露呈しつつある。
 本日(30日)の新聞を読んでいたら、ペリー氏がニューハンプシャー州の大学で29日に開いた集会で、来秋の大統領選までに21歳になる学生に対しては自分に投票するよう求めたが、21歳未満の学生に対しては「一生懸命勉学に励むよう」とだけ述べたという記事が目に入った。AP通信の記事は次のように締め括られていた。
 It turns out Perry didn’t know or had forgotten the voting age in America is 18. The flub caused whispers in the crowd. (ペリー氏はアメリカでは18歳になれば投票できるということは知らなかったか忘れていたことが判明した。聴衆の間では彼のへまにさざ波が広がった)
 いやはや、アメリカは「奥」が深いところではある。

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