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翻訳脱稿

  • 2014-03-20 (Thu) 12:46
  • 総合

 前回のブログで少し触れていた翻訳が本日の昼前、ようやく完了した。嬉しい。嗚呼、これで少し楽になった感じだ。まだ、これから誤訳のチェック、語句の修正など推敲を重ね、訳注をどうするか、その訳注の考察、解説(あとがき)の執筆など、厄介な作業が待っているが、少なくとも下訳(荒訳)は完了したのだ。
 今回の本の翻訳にいつ着手したのか覚えていない。手帳にも書き入れていない。このブログをさかのぼると、昨年10月26日にアップした「秋の味覚」の項で「今は午前中は出版社から依頼された新しい翻訳に取り組んでいる」と書いているので、10月には着手していたのだろう。
 ということは、半年かかったことになる。確固とした本業があるわけでもないが、まあ、片手間の仕事のように、一日数時間程度少しずつ翻訳してきた。いや、難解な文章が多かった。というか、日本人(私)に馴染みのない人名や地名、語句が頻出するので、その読みを調べるだけでも骨が折れた。女性のファッションの記述、それも19世紀末の英国のそれなど、私にはチンプンカンプンの世界で、ため息交じりにぼやきながらキーをたたいた。『幸せの残像』のように感情移入することもなく、メガネが涙で曇ることも皆無に近かった。それでも読み応え(訳し応え)のある作品だったことは間違いない。
 翻訳したのは “Constance The Tragic and Scandalous Life of Mrs Oscar Wilde” という伝記だ。英国のフラニー・モイル氏が2011年に発表した作品で、奔放な人生を生き、ウィットに富んだ警句が散りばめられた戯曲で知られたアイルランド出身の作家、オスカー・ワイルドの妻、コンスタンスの数奇な人生をたどっている。オスカー・ワイルドは好きな作家の一人だ。『ドリアン・グレイの肖像』は複数回読んでいる。彼の戯曲も何度も観ている。言葉の天才だと思う。彼が同性愛にまつわる行為で投獄され、健康を害して早すぎる死を迎えることがなかったならば、どれほどの傑作を残してくれていただろうと思う。
 私は2012年に英国及びアイルランドを旅した時、ロンドンでモイル女史がこの伝記について語るレクチャーに参加する幸運に恵まれていた。昨春に刊行した『イギリス文学紀行』のオスカー・ワイルドの項でもこの伝記のことについて簡単に触れている。当時はこの本(本文328頁)を帰国後に翻訳することになろうとは考えもしなかったが。
 この翻訳本は “Woman’s Best” と称し、フィクション・ノンフィクションを問わず、世界中の女性の生きかたについて書かれた書籍を翻訳出版していくプロジェクトを展開している福岡市の出版社「書肆侃侃房」から刊行される予定だ。校正作業など終わり、「完成品」を手にしたら、このブログで改めて紹介したい。
 とにもかくにも本日はそういう次第で気分が良い。本来なら、行きつけの(時々のぞく)居酒屋に行き(私はそこではママたちから「とくちゃん」と呼ばれている。匿名希望のとくだ)赤のグラスワインで祝杯を上げたいところだ。ただ、この日曜日に年一回、恒例となった感のある徳島市での英語講演会が控えており、そこで話す内容をパワーポイントに整理する作業が終わっていないので、今宵はコンビニで安い赤ワインを買って、自宅で一人静かに祝杯を上げたい。ウヒッ!

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