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中国の「n-1」

  • 2020-08-31 (Mon) 09:23
  • 総合

 猛暑は続いているが、台風シーズンにも突入したようだ。NHKテレビの天気予報でも台風がよく話題に上るようになっている。大きな台風の直撃を受けることがないように、これから当分は毎朝神様に祈ることになる。
 政界は一足先に台風が襲来したようだ。長期政権を維持してきた安倍首相が突然の辞任を表明した。後継の首相に誰が就任するのか。NHKテレビで首相の辞任表明会見の生中継を見た。首相職が激務であることは明白。やはり自身の身体の異常を悟り、辞任を決意せざるを得なかったのだろう。その心中は察して余りある。記者団との質疑応答を聞いていて、一つ思ったことがある。私が見ていた限りでは8年近くに及んだ首相職を辞する安倍氏にねぎらいの言葉を発した記者は一人もいなかった。そういう言葉をかける記者が一人や二人いてもおかしくなかっただろうに。安倍政権に対する評価とはまた別次元の話だ。人間味あふれる記者は絶滅か?
                  ◇
20200831-1598833334.jpg 公民館の中国語講座。老師(老师)が中国では今、政府が食べ物を残すことを戒めるために「n-1」を推奨しています、という趣旨のことを言われた。とっさには何のことか分からなかったが、やがて推察がついた。レストランなどで例えば4人で入ったなら、「4-1」で3皿の料理を頼むのだ。そうすることで頼んだ料理をできるだけ食べ残すことを防止しようという狙いだ。
 ロンドンの特派員時代の食事風景を思い出した。中華街のレストランで同僚や友人たちと一緒に食事する時に、4人ならばそれぞれが好きな一皿、計4皿を注文し、それを全員でシェアするのが通例だった。中国では人数に見合ったお皿の料理を注文するのは御法度になるということか。
 土曜朝。CNNのネットでまさにこの話題が取り上げられていた。Watch what you eat という大見出し。クリックすると、In authoritarian China, eating freely is a cherished activity. Now a food waste campaign wants to control meals, too(独裁主義の中国といえども、食の好みは個人の聖域。それが今や食べ物を残さないようにというキャンペーンで制約の対象に)という見出しが続いていた。
 膨大な量の食べ物が消費されずにゴミとして捨てられている現実は中国に限らず、日本を含め全世界の課題だろう。飽食の世紀か。中国でそれが今年特に深刻な様相を呈しつつあるのはコロナ禍もあるが、洪水により食糧生産地が水没したりして食糧難の危機に直面しつつあるからだという。監視カメラが全国至るところに設置されているお国だ。自治体によってはレストランでの食事風景までモニターし、食べ過ぎや浪費を目撃した場合には当局に通報するように奨励しているとか。記事の中ではあるネット発信者の次のコメントが紹介されていた。“Why should I be reported for things I bought with my own money?”(自分自身のお金で買ったものに対し、なぜ当局に通報されなければならないのか?)
 「n-1」は当然、市中の飲食業界にもコロナ禍に加えての追い打ちとなる。まあ、食べ残しをなくし、食べ物を大切にすることはいいことではあるが。日本の「もったいない」精神をお裾分けしてあげたい・・・。

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