Home > 総合 > A smiling Cinderella

A smiling Cinderella

  • 2019-08-05 (Mon) 17:29
  • 総合

 久しぶりに気持ちのいいスポーツ中継を見た。イギリスで開催されていたゴルフのメジャー大会、全英オープン。日本の新鋭、渋野日向子選手が見事に初優勝を飾った。プロ入りして間もない弱冠20歳の若手。胸のすく快挙だった。
 ケーブルテレビの英語放送の中継で最初に彼女の名前が画面で Hinako Shibuno と紹介された時には正直、誰だろうと不思議に思った。BBCアナ(と思われる人))が彼女は今や、現地では “a smiling Cinderella” と話題になっていると語った時、合点が行った。今年初優勝した新人プロに笑顔が印象的な子がいたことを覚えていたからだ。
 果たして彼女だった。岡山市出身の渋野日向子選手。決勝ラウンド3日目を終えて2打差の首位に立った時、ひょっとしたらこのまま逃げ切るのではとも思われたが、メジャー大会はおろか、海外の試合も初めての彼女にとって、韓国や米国、英国の百戦錬磨のプロを抑えての勝利は大変だろうと推察された。
 そして迎えた最終日の日曜日。時差があるので、日本時間では夜の10時過ぎ頃から渋野選手は最終組としてスタートを迎えた。最初の数ホールを見たところで、あ、これは難しいかなと思った。最後まで付き合って負けるのを見るのは見ている方でも辛い。それで一旦テレビを消して横になった。
 だがどうも気になる。途中で目覚めたこともあり、スマホで途中経過を確認すると、首位の座から落ちてはいるが、トップと2打差で踏みとどまっている。彼女は確か後半・インの方が成績が良かったことを思い出し、よし最後まで応援しよう。どうせ気になって眠りに落ちることは難しそうだし。果たせるかな。彼女は驚異的な粘りを発揮し、15番でトップを走るアメリカ人の選手に追いついた。この選手は最終18番で絶交のバーディーチャンスを手にしながら、パットをミスした。これに対し、渋野選手は18番で距離のあるバーディーパットを決め、逆転優勝。ギャラリーからは大きな歓声と拍手の渦。渋野選手がパットを決めた瞬間、高く突き上げた左手は実に感動的だった。良くやった!お見事!
 日本語放送では大先輩の岡本綾子プロが味わい深い解説をしていたが、男性アナの興奮気味の実況がちょっと耳についたので、最後の方では英語放送に切り替えていた。BBCのアナが再三、英国の人々は今やこの “smiling Cinderella” に魅了されていると語った。そして彼女の落ち着いたプレーは実に “nerveless, absolutely nerveless” と激賞した。そうか、こんなケースではnerveless が適しているのか。辞書では①元気のない、弱々しい②冷静な、落ち着いた・・・という訳が載っている。nervous (不安な、神経質な)の反対の意の②の意で、つまりほめ言葉として使えるのだと勉強にもなった。Thanks, Hinako-chan.
                  ◇
 福岡市の出版社・書肆侃侃房から無料のPR小冊子「ほんのひとさじ」7月号(Vol.12)が出た。今回の特集のテーマは「風」。読み応えのある小品が並んでいる。私も拙文を寄稿。ご興味のある方は書肆侃侃房のホームページの以下のサイトにアクセスを。http://www.kankanbou.com/honnohitosazi/ 「ほんのひとさじ」の取り寄せ方法なども書いてあります。

Home > 総合 > A smiling Cinderella

Search
Feeds

Page Top