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マンデラ氏の誕生日

  • 2013-07-18 (Thu) 14:42
  • 総合

 今日7月18日は南アフリカの元大統領、ネルソン・マンデラ氏の誕生日だ。1918年生まれだから、95歳となった。マンデラ氏は危篤状態との報道が一時南アから流れてきていたが、どうも危機的状況からは脱したかのようだ。マンデラ氏の一日でも長い長寿を世界の多くの人々が祈っていることだろう。私もその一人だ。
 私はずっと以前からマンデラ氏の年齢はすぐに計算できる。卑近な話で恐縮だが、アフリカの黒人解放の闘志、マンデラ氏と亡き母親が同じ年の生まれだからだ。しかも、月も同じ7月。お袋の生前は誕生日がやって来る度に、母の齢を数え、数日後にマンデラ氏の誕生日のことを思ってきた。
 実はマンデラ氏が27年余の獄中生活から解放された直後の共同記者会見で、新聞社のナイロビ特派員だった私は彼にそのことにも触れて質問をしようと考えたことがあった。南アの美しい都市ケープタウン。白人至上主義を掲げてきた国民党政権は1990年2月11日、マンデラ氏を自由の身とした。欧米のメディアが中心となった共同記者会見はその数日後に開かれた。例のごとくに質問に立つのは欧米の記者が中心。私は日本人記者として何としても、マンデラ氏に一つは質問したかった。それも、お決まりの質問ではなく、彼の、そして私の印象に残る質問を。
 私の頭にあったのは、マンデラ氏が私の母と同じ年齢だということ。1990年のことだから、ともに71歳。獄中でもシャドーボクシングしていたというだけあって、マンデラ氏は健康そのものに見えた。しかし、71歳という年齢は普通なら当時は(今でも)楽隠居の年齢だろう。私の母も余生を楽しんでいた(と信じたい)。だから、私は普通なら余生を楽しむ年齢に達して初めて自由の身となり、それでもなお、周囲からは南アの困難極まりない国作りの重責を担わされる身の上をどう思うかと尋ねたいと思った。
 質問の導入で例えば、“My mother happens to be the same age as you.” と切り出す。ただ、私の英語力でその後、どう質問を展開していけばいいのか。第一、マンデラ氏への質問に日本のごく普通の母親である私のお袋のことを「言及」していいものかどうかも自信がなかった。迷った末に上記の導入はやめ、単刀直入、マンデラ氏が国民党政権を率いる当時の白人首相を交渉相手として信ずるに堪える人物と見なしているかどうかを尋ねた。彼は一語一語、噛み砕くように答えてくれた。私の母に言及したとしても、彼はあの特徴のある笑顔で答えてくれたのではないかと今では思っている。“Oh, is that so? How is she? Is she fine?” とか何とか言ってくれたのではないかと。
 南アの地元紙をネットで読む限り、その日が確実に近づいているマンデラ氏亡き後の南アが果たしてどうなるのか憂える声が満ちている。ノーベル平和賞受賞のデズモンド・ツツ氏(元大主教)も母国の前途に警鐘を鳴らしている。マンデラ氏が率いた当時の南アと現在の南アは異なり、政治、社会の指導層は自己の富・権力を拡大することにのみ躍起となっていると。マンデラ氏が奇跡的に回復し、彼の世代の指導層が目指した「肌の色に左右されず、自由と幸福を皆が享受する政治・社会の実現」をあの独特の英語で訴える姿が今一度見てみたいと思うのは私だけではないだろう。

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