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「コピ」と「コーヒー」

  • 2015-09-24 (Thu) 12:43
  • 総合

 図書館で『宮崎県の歴史』(山川出版社)という新しい本が目についた。「県史45」と付記されているから、全国の都道府県の最終近くで刊行されていることが分かる。奥付を見ると、1999年の刊行で今年第2版が発行されている。正直な読後感を書けば、理解に苦しむ部分も散見した。例えば最終章の「太陽と緑の国」では21世紀に向けた県政を展望しているが、「県全体の過疎化にも歯止めがかかっている。しかし、県民所得は低く、県内での過疎化は進展している」という文章があった。これを一読してすっと理解できる人は少ないだろう。「過疎化の進展」という表現そのものに違和感を覚えるが、県内の過疎化が進行しているのならば、県全体の過疎化に歯止めがかかったとは言えないのでは。
 とはいえ、我が愛する郷土を紹介した本だ。初めて知ることもあり、興味深く読んだ。驚いたのは私の古里を含んだ米良(めら)の山が幾度も出てきていることだった。このブログでも何度も書いているが、郷里は山また山の山間部。しかし歴史的には由緒ある地であり、江戸時代前後には土豪(武士)が住みつき、結構波乱に富んだエピソードを提供しているようだ。この本の中では、1684年(貞享元年)に米良山領主で交代寄合旗本の米良主膳則信が参勤交代で居城の小川館(西米良村)を出立し、途中、銀鏡(しろみ)の米良源太夫宅に立ち寄った際に、毒殺未遂に遭遇した事件が紹介されている。この銀鏡は我が郷里であり、江戸時代にそのような生臭い事件があったとは好奇心をかきたてられる。
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 福岡で毎年この秋の時期に催されている「アジアフォーカス福岡国際映画祭」の招待券がお世話になっている人から届いた。韓国の映画も上映されていますよということだ。渡りに船と飛びついた。昨日足を運んだのは「愛の棘」という作品。韓国語の原題は「가시」。「瑕疵」という語が頭に浮かんだが、辞書で調べると「棘」という意味だった。イケメンの若い体育教師に抱いた女子高校生の恋心が狂気的なものとなり、新婚の家庭が破滅の縁に追い込まれる物語だが、見終わった後の心地はとても爽やかとは言えないもので、次にかかっていた「野良犬たち」(原題「들개들」)で気分一新と願った。こちらは韓国内で実際に起きた事件を基に描いた作品とかで、雪深い寒村を舞台に村人が一人の娘を襲うレイプシーン続出の凄まじい作品だった。ため息気分で帰宅の途についた。
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 韓国語と日本語の違いが面白いと思うことの一つに、英語外来語の発音の違いがある。韓国語ドラマで頻出するのがコーヒーを意味する「コピ」という語。韓国語では「커피」。我々の耳には「コピ」と聞こえる。「コーヒー」と「コピ」、どちらが英語(coffee)の原音に近いかは意見の分かれるところだろう。タイミング(timing)という語はどうか。韓国語では「타이밍」と書く。この語の最後の音は発音記号では[ŋ]と記される鼻音だ。日本人でもこの発音を難なくできる人がいるのかもしれないが、私にはできない。多くの日本人ができないのではないかと思う。この点では韓国語の方が英語の原音に近いと言えるだろう。日本語では「タイミング」と最後の「グ」をしっかり発音しないとどうも収まりがつかないが、そうすると英語の原音からは遠くなる。大雑把に言えば「グ」を飲み込むような発音が英語の原音に近いのではないかと思う。

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