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cold gun ではなかった!

  • 2021-10-27 (Wed) 12:51
  • 総合

20211027-1635306658.jpg 米CNNをネットで読んでいて、何やら映画の撮影現場で重大な事故があったことを知った。事故の当事者である男優の名前はどこかで見たことのあるような気がする。顔写真もどこかで目にしたことがあるようなぼんやりした記憶があるが、すっと分かったわけでは決してない。記事をだいぶ下まで読んで分かった。この男優はあの有名な風刺番組「サタデーナイトライブ」(SNL)でトランプ前大統領を「怪演」している役者ではないか。私は彼が風刺するトランプ氏が大好きで笑い転げていた。
 アレック・ボールドウィン氏。トランプ氏以上にトランプ氏の演技が上手ではないかと思っていた。そんなことがあるわけはないか。彼が演じるトランプ氏の愚かな言動に当の本人、トランプ氏はよく名誉毀損で訴訟に持っていかないものだと思ったこともある。日本ではちょっとお目にかかれないほど、政治指導者を徹底的にかつ痛烈に揶揄っていた。
 事故、いや事件と呼ぶべきかもしれない惨事はボールドウィン氏が主演を務める映画の撮影現場で起きた。詳しいことは分からないが、どうも、prop と呼ばれる小道具、拳銃が絡んでいて、撮影スタッフがボールドウィン氏に「実弾は入ってない」と言って拳銃を渡したようだ。英語ではそうした拳銃は “cold gun” と呼ばれるらしい。だが、実際にはなぜか実弾が装填されていて、ボールドウィン氏が引き金をひくと実弾が打ち出され、女性の撮影責任者が死亡し、監督が負傷する惨事となった。
 現時点ではボールドウィン氏は事件の当事者となったが、重大な責任はなさそうに見える。「実弾は入ってない」と問題の拳銃を手渡した撮影スタッフにかなりの責任がありそうに見える。実際、この撮影スタッフは過去にも撮影現場での安全確保を怠る前歴があり、評判は良くないとの報道も見られ始めている。
 この事件を公民館の中国語教室で冒頭のショートスピーチの話題にするべく、頭をひねっている。ボールドウィン氏のトランプ氏の「怪演」が「抱腹絶倒」であり、私は毎回、お腹を抱えて笑い転げていたことを述べようと思っている。「抱腹絶倒」はいかにも中国伝来の四文字熟語のように見える。辞書をひいてみた。似た表現があった。「捧腹大笑」。ピンイン表記では「pěngfù dàxiào」。敢えてカタカナ表記すると「ポンフーダーシャオ」。英語では “thrown into convulsions of laughter” という表現が見えた。「抱腹絶倒」にはちょっと物足りないような気がしてしまう。
 気がかりなことが一つ。痛ましい事件の当事者になったことで、ボールドウィン氏がSNLでトランプ氏を「怪演」することはもう二度とないのだろうか。一視聴者としてとても残念に思う。一人だけボールドウィン氏の不運を喜んでいる人物がいるとすれば、トランプ氏だろうか。「罰が当たったわい」とほくそ笑んでいるかもしれない。
 いや、巷間伝えられるところによると、トランプ氏は相次ぐ訴訟で不利な状況に追いやられており、やがて法廷の場に出ることを余儀なくされる運びとか。最終的には収監されるとの見方も強まる一方だ。当初望んでいた大統領経験者としての優遇措置もバイデン大統領に拒絶され、有能な弁護士たちからはそっぽを向かれ、四面楚歌に陥りつつあるとか。ボールドウィン氏の不運を笑っておられる気楽な境遇ではないことは間違いないようだ。

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