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“He did it again. He’s a beast!”

  • 2021-07-08 (Thu) 11:08
  • 総合

20210708-1625710096.jpg 大谷翔平君がまた打った。もちろん、ホームランだ。今季32号。ホームラン王を目指して一直線。ひょっとしたらひょっとするかもしれない。長打力を秘めた二刀流の選手とはいえ、強者たちがひしめく大リーグでその頂点に立つとは少し前まで想像すらできなかった。恐れ入谷の鬼子母神だ。私はなぜか「きしぼじん」と読んでいたが、どうも「きしもじん」らしい。
 アリーグ東地区を突っ走る強豪、ボストンレッドソックスを迎えたホームでの3連戦。3タテを食らっても不思議ではないと思っていたが、2勝1敗と勝ち越して終えた。そのうち2戦目の1勝は翔平君が力投で挙げたもの。語源は知らないが、rubber match(ラバーマッチ)と呼ばれる決着をつける本日の3戦目で、DH出場した翔平君は初回のチャンスを作るヒットを放ち、同点に追いつかれた5回裏には上述の32号を右翼席にかっ飛ばした。あの松井秀喜先輩の日本人選手大リーグ最多本塁打(31本)をシーズン半ばであっさりと抜き去ったのだから驚きだ。いや、こと翔平君に関する限り、驚きには値しないかもしれない。
 この日は日本時間では午前5時からの試合開始だったため、寝ぼけ眼でテレビを見ていたが、5回裏の攻撃では自打球を足に当てたのか痛がるそぶりを再三見せていた。こういう時にこそ打つんだよなと思って見ていたら、期待通り、文句なしの弾丸ライナーを右翼席に突き刺した。現地のアナウンサーが快哉の余り、“He did it again. He’s a beast!” と叫んでいたが、翔平君のパワーに対する最上級の誉め言葉だろう。本当に凄い選手だ!
 水曜日付の読売新聞朝刊の文化欄で大谷選手の魅力について、野球に詳しい作家が論評していた。作家は大谷選手が「努力のにおい」を全然感じさせないところ、「スポ根」の呪縛もなく、ストイックな「求道者」のイメージが皆無なことに特徴があり、ただただ好きなことに専念している、そうした姿が見る者を魅了しているのではないかと論じていた。
 私は翔平君の魅力はあの「胸がすかっとする」ホームラン、これぞホームランというような一打にあると思っている。それが見たくて早起きしてテレビを見ている。日本のプロ野球であのような快打を「常時」見せてくれる選手は皆無に近いのではないか。その上でマウンドに立てば160㌔近いストレートを投げ、強打者をねじ伏せる。スーパーマンとでも呼びたくなるような現代のヒーローだ。かてて加えて彼が好人物であることはあの端正なマスクを見れば分かる。昨日聴いたNHKラジオの中国語講座で「没有人不喜欢他」という文章が流れていた。「彼のことを好きでない人はいない」という意味だったような。「誰だって彼のことを好きになる」とも解釈できるのだろう。翔平君はそういう若者だ。
 大リーグは間もなく前半戦が終了し、来週15日にはオールスター戦がある。その前日の14日には翔平君も出場するホームランダービーがある。NHKではこのホームラン競争をBS1で午前8時から生中継するようだ。コロナ禍は一向に収まらないわ、水害は全国各地で人々を悩ましているわで憂鬱な日々を送っている方々も多いことだろう。海の向こうの野球を楽しむ気分ではないと憤慨している方もおられるかもしれない。(こういう言い方、書き方は好きではないが)私的には翔平君の目の覚めるような大飛球のホームランを見てしばし陶然としたい思いだ。

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