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February 2023

私も欲しい“luck out”

 帯状疱疹が今も私を苦しめている。日中の仕事は何とかこなしているが、このところの慢性的な睡眠不足からかあるいは単に右上半身の痛みからか、身体が重い。気分も物憂い。とても溌剌とした気分とは言えない日々が続いている。
 救いは就寝時に小説を持って横たわり、少しずつでも読書をする気力が出てきていることだ。それで今読んでいるのは週末のオンライン英語教室で次に読むことを考えている作品。過去に読んだことのあるオーヘンリー賞受賞の短篇集の最新版"The Best Short Stories 2022"。昨年末にネットで注文したら、即座に手元に届き、ネットショッピングに疎い私は感激した。今年はロシア語で書かれた作品の英訳も幾つかあるようだ。今読み始めた短篇はその一つで風変わりな出だしで、クリミア半島の記述も見える。まさかロシア軍のウクライナ侵攻を予知したものではないだろうが、時節柄気にはなる作品だ。展開が楽しみ。
 昨秋から読み進めてきたアガサ・クリスティの戯曲 “The Mousetrap” はいよいよクライマックスに近づいた。今月2回の教室で読破できそうだ。受講生の英語表現の学習に役立つと思って選んだ作品だったが、実に面白かった。いや、まだ読破していないので、「面白い」と現在形で書くべきだろう。私はこの戯曲はロンドンに勤務していた頃から何度も観ているが、活字で読んだのは初めて。殺人事件の犯人捜しのスリラーだが、犯人は登場人物の誰?ということさえ忘れていた。
 初演は71年前という世界で最も長い連続上演劇として知られている “The Mousetrap” 。次にロンドンに飛べるのはいつになるのか分からないが、再訪できたら、きっとまた新たな気持ちで劇場に足を向けるだろう。
                 ◇
 米高級誌「ニューヨーカー」からネット定期便で送られてくるニュースレターに次の見出しの記事の告知があった。私が時々拝読しているベテラン記者、スーザン・グラッサー氏のコラム記事のお知らせで、私は見出しの文言にひかれた。“Joe Biden, Once Again, Lucks Out With His Enemies” とあった。一般教書演説を終えたバイデン米大統領にまつわる記事だが、“luck out” とは初めて見る表現。下院の多数派を敵対する共和党に奪われ、四面楚歌とは言わないまでもこれまでの一般教書とは異なる厳しい状況下での演説を強いられたバイデン大統領にとって結果はそう悪くなかったようだ。
 “luck out” を辞書でひくと、「運が向いてくる」とある。辞書には例文として次の文章が載っていた。He lucked out with the divorce.(彼は離婚を機に運が向いてきた)。記事の見出しの乱暴な意訳を許してもらえれば「バイデン大統領、またもや共和党の敵失で幸運を引き寄せる」といった文言が頭に浮かぶ。
 In his State of the Union address, the President offered a strong performance – with an assist from House Republicans. 共和党議員の敵対的発言(やじ)が大統領にとっては「追い風」となった。バイデン大統領は次期24年の大統領選で民主党候補として再選を目指すのは必至とか。注目はトランプ前大統領に今なお引っかき回され続けている共和党の動向だが、党内ではトランプ氏を見限る動きが活発化し始めているとも報じられている。本当?

愚痴りたくないが

 帯状疱疹に苦しめられていることは書いた。今も辛い状態が続いている。日中は仕事をしていれば、右胸の辺りと背中の痛みはそれほど気にならない。いや気にしないように努めているのかもしれない。問題は夜中。今はなるべく早めに就寝しようと夜の9時過ぎにはベッドに入ることが多いが、なかなか寝付けない。運良く眠りに落ちたとしても、途中で胸の痛みで目が覚める。スマホの時計を見やると午前1時40分とか。まだ夜中だ。いかん、眠ろう。それからの記憶があやふや。熟睡からはほど遠い。もうろうとしたまま朝を迎える。
 上記のような夜をもう何度経験しているだろう。皮膚科医院で服用薬をもらってきちんと飲んでいるが、効果があるのかないのか、よく分からない。そうした悶々とした状況下、今度は腰痛が襲いかかってきた。私は腰痛だけは経験したことがない。だからショックだった。どうも世に言うぎっくり腰の症状のようだ。ベッドに寝転ぶのも一苦労。これでは教壇に立てないのではと危惧した。内科医院を訪ね診てもらう。帯状疱疹とは無関係のようだ。痛みが続けば整形外科医院できちんと診てもらうことを薦められた。
 それで窮余の一策と痛み止めを処方してもらった。これで痛みが解消しなければ、整形外科医院に足を運ぼう。幸いこの痛み止めは効いたようだ。一晩経過したら、腰痛は消えていた(ように感じている)。問題は依然、帯状疱疹。痛い。眠れない・・・。
                  ◇
 体調的には最悪の状況がずっと続いているので、あまり世の中の事柄に真剣に向き合う余裕がない。余裕がないが、案じてはいる。その筆頭はやはりウクライナ情勢。ロシア軍が一方的にウクライナを侵攻して以来、まもなく1年が経過しようとしている。あの大国がウクライナを攻略するのにこれだけ長期にわたって苦戦しているのは、それだけ抵抗するウクライナの人々に理と義があるからだろう。
 プーチン露大統領の政権基盤は残念ながら依然盤石のようだ。CNNもBBCも最近はあまり目にしていないので読売新聞から引用するとーー。プーチン大統領は2日、第2次大戦の激戦地だった露南部のボルゴグラード(旧スターリングラード)で催された旧ソ連軍の旧独軍勝利記念式典で演説したが、ウクライナ侵攻をかつての対ナチスとの戦いであるかのように形容したとか。何をか言わんやである。ドイツがウクライナの求めに応じ、戦車を供与しようとしていることに反発しての発言であることは明らか。侵攻がこのまま泥沼化していけばやがてロシアが核兵器使用に踏み切り、欧米諸国が相応の報復措置に出て、事実上第3次大戦の勃発という悪夢も頭に浮かぶ。何とも恐ろしい時代だ。
                  ◇
 もうろうとした頭でも毎朝のNHKラジオの英韓中の外国語講座は聞き続けている。睡眠不足から寝落ちしていることがしょっちゅうだが。先日の英会話講座では次のような一文が流れていた。Direct translations are hard to understand. 「直訳は理解するのが難しい」と訳されていたような。ふと思った。「直訳」は literal translation ではないかいな。そう教えてきていた。改めて辞書をひくと、literal translation, word for word translation と出ている。今はdirect translation でもOKとされているのだろう。

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