Home > Archives > March 2019

March 2019

時代も旅立ち

 プロ野球が開幕。大リーグも開幕。甲子園の高校野球も熱戦が続いている。退屈することはないが、すべてに付き合っていると、能天気な人間になってしまうだろう。それでなくとも能天気な性分だ。能天気を辞書で引くと、「軽薄で向こうみずなさま」「物事を深く考えないさま」などといった意味が出てくる。私は後者の意の能天気だ。いや、前者の要素も抱えているかもしれない。いずれにしろ自慢できる性分ではない。
 シアトルマリナーズの菊池雄星投手は対ボストンレッドソックス戦が米国デビュー。6回を投げ、2本のホームランを打たれ、3失点、5奪三振と評価の難しい「微妙」なピッチングだった。それでも味方の打線の猛打で勝ち投手の権利を手にして降板した。大リーグでの初勝利なるかと期待したが、案じた通り、中継ぎ・抑えのブルペン陣が打たれ、逆転負けを喫し、初勝利は逃した。マリナーズは昨年まで岩隈久志投手がいたので応援していたが、なぜかブルペン陣がことのほか弱い。無残な逆転負けを何度目にしたことか。
 ジャパン・ニュース紙を読んでいたら、まさにそれを指摘した記事が載っていた。AP電で次のように書かれていた。It was all for naught as Seattle’s biggest concern entering the season – its bullpen – failed to come through.(菊池の好投も結局無に帰した。マリナーズの今シーズンの最大の懸念材料である救援投手陣が終盤を切り抜けることに失敗したからだ)。雄星君は長いイニングを投げる気構えでやらないと厳しいかもしれない。
                  ◇
 明日、平成を受け継ぐ新元号が公表される。私はそれを見届けて、翌日台湾に旅立つことにしている。帰国は27日の予定。新天皇の即位には間に合う。昭和から平成への代替わりの時にはアフリカにいた。昭和天皇の崩御のニュースはケニア・モンバサの海辺でBBCのラジオ放送で知ったおぼろげな記憶がある。
 1か月近い旅だと、冷蔵庫の中もできるだけすっきりして出かけたい。ほぼ一日おきに炊いているお米も出発直前に使い切れるように案配していたので、きれいに消化しきれた。神戸の知己が送ってくれた佃煮の玉筋魚(いかなご)も全部頂いた。後は残っている野菜などの生ものを今日明日と適当に料理して胃袋に収めれば、準備は万端だ。少し長旅になるから、いつものキャリーバッグではなく、スーツケースに着替えやジョギングシューズなどをぶち込んで行きたい。本当は軽装での旅が理想的なのだが・・・。
                  ◇
 『漢字再入門』(阿辻哲次著・中公新書)という本を読んでいる。幾つかの疑問点が氷解した。著者の阿辻氏は漢字学の第一人者だとか。嬉しかったのはその著者が漢字の「はねる・はねない」といったことや一般的に正しいとされている筆順にあまり拘泥する必要はないと説いていることだ。例えば筆順に関しては次の記述がある。「筆順とはその漢字を書くときにもっとも書きやすく、また見栄えよく書けるようにおのずから決まる順序にすぎないということです。大多数の人は右利きだから、世間で認定される筆順は右利きの者に書きやすいようになっていますが、左利きの人には当然それとことなった筆順があってしかるべきでしょう」。御意、御意。筆順コンプレックスが癒される思いだ。

世間の空気を読む天才?

 ずっと目がむずがゆい日が続いていたが、今朝(月曜)はだいぶ楽になった。全然違和感がなくなった。鼻水も出ていない。私の花粉症シーズンはもう収束したのだろうか。普段飲んでいる故郷(西都市銀鏡)のじゃばら酢やここ数か月愛用し始めた入浴剤の木酢液が何らかの効果を発揮しているのかもしれない。いずれにしろ、これからは毎朝、快適に目覚めるようになって欲しいものだ。
                  ◇
20190318-1552920403.jpg 英字紙「ジャパン・ニュース」の日曜日の紙面に気になる見出しの論評が掲載されていた。—— “Republicans will never quit Trump”——「共和党支持者は決してトランプ大統領を見限ることはない」。JNが提携しているロサンゼルスタイムズ紙の転電の論評記事で、なぜ米国民は言動に問題ありと言わざるを得ないトランプ大統領に愛想を尽かさないのだろうかと思っている身としては読まないわけにはいかない。
 この論評の筆者、スコット・ジェニングズ氏は共和党のアドバイザーでもあり、ブッシュ政権下でも政権の中枢に身を置くなど、共和党の内情に精通している人物。彼は論評の冒頭で、民主党員やメディアなどからよく「なぜ共和党支持者はトランプ氏に忠実であるのか?」という質問を受けると説き起こし、その際、“The answer is simple: attitude and gratitude.” と答えているとか。
 論評を要約すると、共和党支持者の間では長年、クリントン、オバマ両政権さらにはオバマ政権で国務長官を務めたヒラリー氏に対する怨念が蓄積していた。メディア大手と民主党政権の親密な関係も疎ましかった。そこに登場したのがトランプ氏。先の大統領選で彼がヒラリー氏を破ってくれたことに彼らは forever gratitude(永遠の感謝)を感じているのだとか。トランプ氏は政治家ではなくとも、共和党支持者が何を求めているのか空気を読む天才だと評している。英語ではgenius empath と表現されていた。端的な訳語を考えてみたが、どうも難しい。「天才的読心術師」といった訳語が頭に浮かんだが、この場合はもっと広がりのある訳語が相応しいかと思う。
 “gratitude” に続いて “attitude” については、次のように書かれている。民主党やメディアに対するトランプ氏の暴言に近い非難の言葉はたとえ不評でも、支持者にとっては留飲を下げるものとなっている。This is especially true for rural folks, looked down upon as hicks and rubes by the coastal elites for a very long time.(長年、アメリカの東西両岸に住むエリート層に田舎者と蔑まされてきた内陸部の地方の住民にとって、彼は彼らの代弁者のように映っているのだ)
 来年の大統領選でもトランプ大統領が共和党の候補となり、再選を果たす可能性ありと見る向きが少なくないのも、この論評を読んで理解できた。それは我々や世界にとって悪夢に相違ない。民主党陣営は政治の中枢から疎外されていると不満を抱いている米国民全般に対する用意周到な手立てが必要だろう。

“All’s well that ends well.”

 大学の非常勤講師の仕事も先月でお役御免となった。私としてはこれからも教え続けたかったが、一年ごとの契約であり、需要がなければ致し方ない。海外放浪の旅を終え、非常勤講師となったのは2013年春から。以来6年にわたって2つの大学で教壇に立たせてもらった。学生に英語を教えるようになって分かったこと、改めて気づいたことが多々あった。英語力を磨かせてもらった。この一点だけでも学生たちには大いに感謝している。
 最後の授業は受講学生8人の小クラスだった。嬉しかったのは全員が一度は教えたことのある学生で、私の授業を厭わず参加してくれたこと。私が繰り出すジョークにもよく笑ってくれ、これまでの講義で最も楽しく、教えがいのあるクラスだった。定期試験が終わると記念撮影をしたいと学生たちが申し出てくれた。
 「終わりよければすべてよし」ということわざがある。英語だと “All’s well that ends well.” という訳文が出ている。中国語では「只要结果是好的,什么都好。」というようだ。非常勤講師の仕事をこうした感慨とともに一区切りできたことにも感謝したい!
 とはいえ、まだまだ働かねばならないし、働きたい。それゆえ5月から一般の人を対象にした英語教室を天神と小倉で開く方向で準備を進めている。大学の授業では受講生が少なければ少ないほど授業が進めやすいので、人数が少ないと嬉しい面もあったが、受講料が講師報酬に直結する一般の英語教室ではそうもいかない。多過ぎない程度に受講生が集まってくれないものかと願っている。
                 ◇
 先日、福岡市の保健師さんの団体から生活習慣病に関する問い合わせが届いた。私は毎年秋に年一回の定期健診を受けているが、昨秋以来の健康状態の変化を尋ねる手紙だった。体重と腹囲の数値を書いて、同封の返信用封筒にて報告をお願いしたいと書かれていた。
 体重はともかく、腹囲を測るメジャーがない。保健師さんの団体に電話を入れると、私の住まいの近くの会館で健診がある日に来てくれれば測ってあげるとのこと。素直に従った。
 相手をしてくれた保健師さんは昨秋の定期健診の結果通知時にあれこれ助言をしてくれた担当者だった。体重と腹囲を測定してもらうと、もちろんまだまだ満足のいく数値ではなかったものの、それぞれ確実に数値が減っており、保健師さんにいたくほめられた。平日の断酒は継続しているし、スロージョギングも細々ではあるが、きちんと続けている。
 ささいなことでも人様にほめられるのは気分が悪いものではない。これからも今のライフスタイルを継続するインセンティブとなった。
                 ◇
 メガネを買い換えた。以前からかけたいと思っていた遠近両用のメガネだ。これまでは手元の本を読もうとすれば、メガネを外して裸眼で見ないとだめだった。非常勤講師時代には教室の学生を見る時はメガネをかけ、手元の教科書やプリントアウトの内容を説明する時はメガネを外さなくてはならず、面倒なことこの上なかった。
 新しいメガネは上手に使いこなせるようになれば、英語教室でも役立つだろう。メガネのかけ外しが少なくなるだけでも随分楽になるはずだ。

球音高まる

 実は今月(3月)は台湾に行くつもりだった。先月になってその準備に着手したが、諸般の事情から来月に延ばすことにした。結果的にこれで良かったのではないかと今は思っている。そう思っている理由の一つは・・・。
 私の中国語学習の命綱であるNHKラジオの中国語講座「まいにち中国語」。高木美鳥先生の講座でこの3月が半年の講座の締め括りになっている。2017年の講座の再放送で受講するのは2回目。2回目にして学んだことが少しは身につきつつあるように感じている。だから今月、台湾に旅していたら、貴重な機会を逸していたことだろう。それを実感しているから、延期して良かったと思っている次第だ。
 数日前に上記の講座で次の文章を復習した。「有会说日语的服务员吗?」。テキストの訳文は「日本語を話せるサービス係の方はいらっしゃいますか」。「いらっしゃいますか」という敬語表現。しかし、中国語の原文は「有会说・・・吗?」と特段の敬語表現はない。場面によっては「誰か日本語のできる店員はいないのかい」とざっくばらんな物言いで訳してもOKだろう・・・と私は思う。この辺りが中国語が英語に似ていると感じるときで、日本語や韓国語のように敬語表現を常に頭に入れておかねばならないのと大きな差異があると感じる。考えようによっては中国語は大変学びやすい言語かもしれない。
                 ◇
 アメリカも日本も球音が段々と高まりつつあるようだ。私の最大の関心事はあの大谷翔平君がいつ本番の試合に復帰し、快音を響かせることができるかにある。現在続行中のオープン戦には出場することはなく、ホームランの快打を期待できるのは早くても5月の声を聞いてからと報じられている。嗚呼、残念!
 それはさておき、シアトルマリナーズは東京ドームでオークランドアスレチックスと20、21日に開幕戦を迎える。もうすぐそこに迫っている。マリナーズにはあのイチロー選手が「里帰り」している。菊池雄星君も今年からマリナーズの一員だ。
 20日が近づけば日本国内でもそれなりに関心が高まるのだろう。8日付けのジャパン・ニュース紙はスポーツ欄でイチロー選手の日本での開幕試合出場の見通しを大きく報じていた。その中で気になったのは今回の日本での開幕戦のプレーが事実上、彼の今季限りでの引退の意味合いを秘めていると書かれていたこと。次のくだりだ。
 The most decorated player ever to export his talents from Japan to the major leagues is returning home for what could be a farewell to his Hall of Fame career on both sides of the Pacific.(日本から大リーグに移籍した数々の才能ある選手の中で、最も華麗な成績を収めたプレーヤーは、今回の里帰りで日米両国で野球殿堂入りが確実視される現役生活に別れを告げることになるものと見られる)
 米AP通信の配信記事だったが、こうした見立てがなされるのも何らかの根拠があってのことだろう。少なくとも米球界ではそうした見方が一般的なようだ。現在45歳。「50歳までは現役でプレーしたい」と公言していたイチロー選手の今季が注目される。

Is he really a conman?

 2回目の米朝首脳会談は失敗に終わったようだ。世界の耳目がこの会談に集まった一方、トランプ米政権の足元を揺るがす政治ドラマも同時進行していた。私は首脳会談の様子を垣間見ようとCNNテレビをつけたが、こちらの方に俄然注目せざるを得なかった。
 米下院の監視・政府改革委員会の公聴会。証言に立ったのは不正献金などの罪に問われ、すでに禁錮3年の実刑判決を受け、5月に収監されることになっているマイケル・コーエン氏。問題が発覚するまでの過去10年、トランプ大統領の顧問弁護士を務めていた。
 コーエン氏は2016年の大統領選で、ロシアが関与した民主党関連の大量メール攻撃をトランプ氏が事前に知っていた疑惑や、大統領の不倫相手への口止め料を大統領の指示で肩代わりしたことなどを淡々と語った。
 衝撃的だったのはコーエン氏がトランプ氏の大統領の、いや、一人の人間としての資質を “a conman” “a racist” “a cheat” と厳しく指弾したことだ。「詐欺師」「人種差別主義者」「いかさま師」。米大統領が在任中に公的な場で、しかも全世界が生放送で見守る中、かくも罵倒されたことがあっただろうか。
 こうした侮蔑の言葉をかつての側近に浴びれば、大統領の名誉も権勢もがた落ちし、政権の座にあるのも危うくなるものだろう。トランプ氏がこの危機を克服するには通常の “accountability”(説明責任)では済まないと思うが、今のアメリカは我々が慣れ親しんできた「良心と良識」の国とは若干異なるようだ。
 公民館の中国語講座は冒頭に受講生が全員、簡単なスピーチをする。それで私は先週このコーエン証言を話題にした。語彙を調べていて、スキャンダルは中国語では「丑闻」と書くことを知った。「丑」は「醜」の簡体字らしい。私は今回のコーエン証言はトランプ大統領の政治生命の終焉を告げる始まりとなるかもしれないと思うと言いたかった。中国人の先生は私の拙い文章を次のように添削された。「我觉得,这个丑闻可能成为特朗普总统政治生涯结束的开端。」。トランプ大統領は「特朗普总统」。「成为」は「~になる」という意味。それを調べていて、「成为笑柄」という成句にぶつかった。「物笑いのたねになる」の意味とか。やがてトランプ大統領及び彼が率いた政権が世界から嘲笑されることになるのかも。いやそうなる日が一日も早く来て欲しい。アメリカが早く「正常」に戻ることを祈りたい!
                  ◇
 3月。花粉症がこれから本格化するのだろうか。私は花粉症にも多糞症にも縁がないと思っていたが、今年はちょっとどうもそうではない。まず、このところ、目が痒い、痛い。過去にもむずがゆかったことはあるが、こんなに毎日、朝目が覚めたときから痒く感じたことはない。鼻水もしょっちゅう出る。ティッシュが手元に欠かせない。
 ラジオでNHKの英語講座を何となく聴いていたら、花粉症(hay fever)のために「鼻水が出る」(“I have a running nose.”)での困っているという文章を説明していた。“a running nose” という表現は知らなかった。辞書で調べると、 “runny nose” という語句もあった。鼻水がでる体験はあまりしたことがないので、この表現も初めて知った。「目が痒い」はすぐに “I have itchy eyes.” という文章が頭に浮かぶ。

More...

Home > Archives > March 2019

Search
Feeds

Page Top