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昭和24年に起きた国鉄初代総裁、下山定則の怪死事件。当時のマスコミも他殺、自殺説に分かれて対峙していました。その下山事件を現在から追ったノンフィクションですが、事件の真相に迫るという本ではありません。真相に迫るドキュメンタリー番組を作ろうとして挫折してしまった過程をつづった本です。週刊朝日の記者とのやり取りなど取材の経過を克明に記しているところは実に興味深かった。まあ、下山事件とはなんぞや、という入り口にはなるでしょう。実際、この本を読んで、作者が取材相手としていた柴田哲孝さんの『下山事件 最後の証言』(祥伝社)や、共に一度は取材したというは週間朝日記者の「葬られた夏 追跡下山事件」はぜひ読みたいと思ってしまいました。
『残虐記』(桐野夏生・新潮社)
真夜中にふと目が覚めて読み出したら、とうとうとまらなくなって朝までかかって読み終えました。男の部屋に1年あまりも拉致監禁された小学4年の女児。その後、彼女はどう生きたのか。実際にあった事件を想起させるような物語だけど、解放されて社会に戻ってきてから女児の目から見た世界はどうだったのか。人間の描き方がすごく悪意に満ちているような感じも残るのだけど、ストーリーの意外性もたっぷりで、作者の想像力に脱帽。
小池さんは女性の心理を描かせたらさすが。慕っていた叔父、中学生のころよく一緒に帰ったノボル、あこがれていた家庭教師の東大生、浪人時代につきあった男友達、恋人の兄に心を奪われていった学生時代……。一人の女性の成長を、彼女の恋を通して描いた作品です。彼女にかかわった男たちはこの世を去るのですが、人への思いが切なくて描けていて、これも一気読みしてしまいました。
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