第62回江戸川乱歩賞最終候補作

(仮)ヴィラ・アーク 設計主旨

「(仮)ヴィラ・アーク 設計主旨 VILLA ARC (tentative)」
家原英生

四六、上製、336ページ
定価:本体1,500円+税
ISBN978-4-86385-250-1 C0093

装幀 宮島亜紀
装画 三紙シン

一級建築士が設計した館もの本格ミステリー

川津たちが招かれたのは、断崖に建つ「二本の筒が載った家」。彼らを迎えたのは不可解な表札「ヴィラ・アーク」。豪華な館訪問という楽しいはずの旅に、やがて暗雲が漂いはじめ、事件が起こる。消えた黒猫を捜すうちに一人、また一人と行方不明者が……。建物の設計に隠された秘密とは何か? 謎は深まる。やがて嵐がおさまり、真相にたどり着いたかに見えたとき、突然、爆発音が轟く。謎は建築家たちによって紐解かれ、最後に明かされる建物の「設計主旨」。館もの本格ミステリーは一転して社会派ミステリーへと姿を変える。
2017年3月上旬全国書店にて発売。

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著者略歴

家原英生(いえはら ひでお)
1956年東京都生まれ。福岡市在住。
福岡県立修猷館高校、九州大学工学部建築学科卒業。一級建築士。日本建築家協会認定登録建築家。九州大学、九州産業大学非常勤講師。
2009年、2010年グッドデザイン賞、2010年福岡県美しいまちづくり建築賞大賞、2011年大村市都市景観賞、2012年福岡市都市景観賞、他受賞。
2016年 「(仮)ヴィラ・アーク 設計主旨 VILLA ARC(tentative)」で第62回江戸川乱歩賞最終候補。

本文より

目の前は小さな入り江だ。その向こうは切り立った崖の岩肌。周囲の木立には、ほとんど人の手は加わっていない。その陰に隠れるように建物が見える。ちょうど同じ目の高さ。直線距離にして百メートルくらいだろうか。まるで「ここで一度建物を見てから来てください」と用意されたかのような景色。一枚の絵ハガキを見ているような「フォトジェニック・プレイス」とでもよびたいスポットだ。
複雑な海岸線に連続してそびえる山々。絶景を背景に、超然とした姿で海に臨む邸宅があった。――間違いない、滝田邸だ。