戦後七十年の短歌を概観する

七十年の孤独

「七十年の孤独」戦後短歌からの問い
川野里子

四六判、並製、224ページ
定価:本体1,800円+税
ISBN978-4-86385-195-5 C0095

装幀 宮島亜紀
装画 寺澤智恵子

戦後の廃墟から今へ
言葉と文化の焦土から立ち上がった戦後短歌。「日本」とは何か、「私」とは誰か。この問いはまだ受け取られていない。戦後短歌には未来を見出すための鍵がある。言葉は時代の空気に敏感だ。あらゆる短歌は時代と対話している。そのことにあらためて思いを深くする一冊。

2015年9月上旬全国書店にて発売。

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著者プロフィール

川野里子(かわの・さとこ)
1959年5月大分県生。千葉大学大学院文学研究科修士課程修了。歌集に『太陽の壺』(第13回河野愛子賞)、『王者の道』(第15回若山牧水賞)など。評論集に『幻想の重量―葛原妙子の戦後短歌』(第6回葛原妙子賞)など。

目次

一 出発について
 1 七十年の孤独
 2 文脈と批評の力  
 3 短歌の「他者」  
   挿話1 羊たちの家①
 4 否定論を抱く詩型  
 5 「前衛短歌運動」の深部  
 6 言葉の錨を求めて――「戦後」という思想  
   挿話1 羊たちの家②

二 源について
 1 郷愁と記憶を越えて  
 2 「黒峠」としての故郷  
 3 女歌の古代と現代  
   挿話2 桜の祝祭、桜の暴力①
 4 「日本」と刺し違えた人――山中智恵子と言葉の戦後
 5 「母」の戦中、戦後――神話化、沈黙、誕生――
   挿話2 桜の祝祭、桜の暴力②

三 今について
 1 むしろ「語られぬ文語」の問題として  
 2 文語と口語――時間の文体・無時間の文体  
   挿話3 空間と格子
 3 文語の創造――『遠野物語』と茂吉の調べ  
 4 文語という人間表現  
 5 文語の力  

四 未来について
 1 言葉の「全電源喪失」の後を  
 2 あえて「時間」について  
 3 手段を読むのか、目的を読むのか――読者を問う  
 4 「虚」の弾力と「リアル」の切実  
   挿話4 真ん中
 5 〈われわれ〉なき〈私〉――「現代」は本当に始まっているのか?
 6 「私」を揺さぶる若手歌人たち――脱近代の試み――
 7 「ありがとう」と言う者――渡辺松男の「私」