詩集

詩集 海辺のまちの小さなカンタータ

「詩集 海辺のまちの小さなカンタータ」
柴田康弘

四六判、並製、112ページ 
定価:本体2,000円+税
ISBN978-4-86385-173-3 C0092

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著者プロフィール

柴田 康弘(しばた・やすひろ)
1954 年兵庫県西宮市生まれ
詩誌「沙漠」「九州文学」同人
福岡県詩人会会員
小九州詩人会会員

もくじ


海辺にて  
岬より  
海辺のまちの小さなカンタータ  
八月  
夜の波  
秋  


風景について  
愛について  
惜春  
別れについて  
早春の闇の中で  
公園にて  


春の手紙  
朝に  
六月の窓辺  
秋の目覚め  
西湖にて  
山羊座のために


冬の階段  
五月のために  
山上湖にて  
夕ぐれの空から  
長崎まで  
 
あとがき

海辺のまちの小さなカンタータ

白い波打ちぎわへ
一列にならんで死んでいる蟬たち
藍色のサングラスを
世界地図の中へ見失って
ぼくらの兵士は水に還らねば
八月の葉脈はそれぞれに
化石や銅鐸をかなしみの空へ挽ひかなければ
いく枚もの白いてんびんの受け皿や
たった一本の麦の穂の収穫でさえも
微風のなかで呼び醒ませはしない
巻き貝のおくの方で夜ごとおこる
あほうどりたちの決闘は涯てを知らないし
そのさまざまな羽毛の散乱を拾い集めながら
深いまひるの眠りに落ちていく少女たちに
濡れたわくらば色の手紙を手渡すことなどできやしない