第三詩集

夜話茶話

「詩集 夜話茶話」
吉貝甚蔵

四六判、並製、120ページ 
定価:本体2,000円+税
ISBN978-4-86385-161-0 C0092

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著者プロフィール

吉貝甚蔵(よしかい・じんぞう)
1959年福岡市生まれ
既刊詩集:詩集『ハイホー』(石風社1997年)
     詩集『夏至まで』(書肆侃侃房2009年)
所属誌:「侃侃」「季刊午前」「孔雀船」

もくじ

Ⅰ 美野島橋通り商店街
半夏生
逃げ水
収穫祭
夜話
不在の埋め方
茶話
道なりに道を
傾斜角

Ⅱ 帰還へ
地図
帰還へ1
帰還へ2
引力と斥力
回帰線
置き去りの磁石

Ⅲ 神田・本郷界隈
神田駿河台正教会坂
文机
旧宅
D坂
神田神保町

Ⅳ 幻都市試論
写像
幻都市試論

あとがき
引用・参考・初出一覧
                                 

半夏生

たこ焼き屋のソウくんの家は
裏と表に入り口があって
ボクたちには
表通りと路地をつなぐ
通路であって
カウンターの客席と
壁の隙間を抜けながら
こんにちは と
ごめんなさい が
通行許可証みたいなもので
何を ボクたち
あんなにいつも
駆け抜けていたのだろう
ソウくんとは
いつも走っていたような気がする
そんなに駆けてばっかりいたものだから
ソウくんは
いつのまにか消えた
たこ焼き屋は
ただの通路になった
確かに
たまに
たまには確かに
表通りからあの裏口に
抜ければ路地の
裏口に
唐突
海が
現れる日もあったりしたのだが
そこにも
さらに通路があったりすることが
わかるには
冬空に追われるような失踪が
必要だったのだ
まさか海に浮かぶたこ焼きの夢など
見やしないが
たこ焼きの中には
当然のように
海の切れ端が入っていた

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