第五詩集

遠いサバンナ

「詩集 遠いサバンナ」
田島安江

A5変形、並製、112ページ 
定価:本体2,000円+税
ISBN978-4-86385-128-3 C0092

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著者プロフィール

田島安江(たじま・やすえ)
1945年大分県生まれ。
所属詩誌「侃侃」「something」
既刊詩集『金ピカの鍋で雲を煮る』(花神社・1985年)
      『水の家』(書肆侃侃房・1992年)
      『博多湾に霧の出る日は、』(書肆侃侃房・2002年)
      『トカゲの人』(書肆侃侃房・2006年)

もくじ

 Ⅰ

ゾウガメ
クジラが来たので
カタツムリ
ヒロベソカタマイマイ
青海島へ
アオウミガメの産卵
わさび畑

 Ⅱ

遠いサバンナ
山羊を売る男
赤い布
ラクダの涙
遠いサーカス
パウル・クレーの鳥

 Ⅲ

たまねぎ
鶏景
鶏町
ウナギ釣り
父の箱
ネズミが這いだす前に
髪を切る
岬への道
信号が変わるまで
発酵する日

                                 

遠いサバンナ

夕日がはじけ
草原に稲妻が走る
稲妻は火を生み
見渡すかぎりの草原は炎で焼きつくされる
そのあとは
草木が芽ぶくまでじっと待たねばならない
餓死するか
待てるか
またたく間に日が翳り
草は芽を吹き
草原は緑で覆いつくされていくはずなのに
わずかな時間の裂け目を待てずに
旅にでる動物たち
遠いサバンナ

旅はゆっくり歩くのがいい
坂道をのぼるときも
手すりにつかまり
風が吹きぬけるのを待って
そっとつぎへ進む
風はとつぜん
はるか遠くの海から吹きあがってくるから
青い海のふちをぐるり
ゆるゆると動く

わたしのサバンナ
夜になると少しずつ空気が冷えてくる
空から舞いおりてきた翼のとがった鳥
鳥はわたしの背骨に飛びのる
背骨がきしむ
旅する姿勢になる

わたしの遠いサバンナ
今はもう待てない
ぶかぶかの靴は捨てる
足にぴったり合った靴を履いて
旅に出る

関連書籍

「詩集 トカゲの人」