第三詩集

夢の先

「詩集 夢の先」
田中裕子

A5判変形、並製、96ページ 
定価:本体1,500円+税
ISBN978-4-86385-041-5 C0092

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著者プロフィール

田中裕子(たなか・ひろこ)
1961年 福岡市生まれ
日本詩人クラブ 福岡県詩人会 会員
詩誌「異神」「タルタ」同人
既刊詩集『あなたのいない場所』(1986年 異神の会)
     『美しい黒』(2006年 書肆侃侃房)第21回福田正夫賞受賞

もくじ


光のくに

夢の先
夜の鏡
滑翔
からっぽの家
錬金術師

**
きらり
かなへび
少女たちの十代
弁当箱

小さな花

たまご
***
雨のむこう
春は
変形

泉水
あやつり糸
壊れていく
冬の日
靴の店

あとがき
                                 

夢の先

泣かせてもよかった
息が苦しくなって
ほっぺたが乾いてひりひりしても
疲れて重く眠り込んでも
おしまいはかならず
わたしにしみたから
一日が終わると
濃い夢のように月が
輝いていた
一陣の風を起こして
広い歩幅で脇をすり抜ける
制服を少し着くずし
ポケットに両手をつっこんで
見送れば
梅のつぼみが
いっしんに白い
ひとりその下を行き
その先へ見えなくなる
涙では解けない道だ
空にかすれた月ひとつ
それぞれが
それぞれの場所で
ぎゅっと袋の口をしぼって
早春の突風に吹かれる

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