昇曙夢という巨塊

「原郷の奄美」

「原郷の奄美」
ロシア文学者 昇曙夢とその時代
田代俊一郎

四六判、並製、216ページ+巻頭8ページ
定価:本体1,800円+税
ISBN978-4-86385-009-5 C0095
装丁:垣田健一郎
装画:「奄美の杜(9)~ビロウとアカショウビン」田中一村

明治末から大正にかけて芥川龍之介や武者小路実篤など日本文学に多大な影響を与えたロシア文学。その翻訳者・著述家として、日本文学界を担った昇曙夢。大正から昭和にかけては柳田国男や折口信夫などの民俗学研究にも大きな足跡を残した。近代日本の文学者の多くが時代の流れに翻弄されるなか、微動だにしない昇の独自の世界観とその生涯を奄美に追う意欲作。巻末に昇夫人手記と年表を付す。

2009年10月中旬全国書店にて発売。

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著者プロフィール

田代俊一郎(たしろ・しゅんいちろう)
1950年、北九州市香月生まれ。慶応大学文学部卒業後、西日本新聞社に入社。ソウル支局長、社会部長、文化部長などを経て現在、特別編集委員。主な著書に『駆け抜けた前衛―九州派とその時代』(花書院) 、「立原道造への旅―夢は そのさきには もうゆかない」『韓国の手仕事』(晩声社)、『韓国の釣り』(つり人社)、『釣り具博物誌』(書肆侃侃房)など。

昇 曙夢プロフィール

昇 曙夢(のぼり・しょむ)
1878~1958。ロシア文学翻訳家。
ロシア文学にかかわる百八十余にわたる翻訳・著述で知られ、明治末から大正にかけて芥川龍之介や武者小路実篤をはじめとして日本文学に多大な影響を与えた。戦後の占領軍統治下にあった奄美の日本復帰運動ではその先頭に立った。また独自の民俗や歴史を集成した「大奄美史」の著述者として知られている。

掲載情報

西日本新聞2009年12月13日(日)朝刊の「読書館」に掲載されました。
南海日日新聞2009年12月3日(木)4日(金)朝刊の書評コーナーに上下に分けて掲載されました。
奄美新聞11月5日(木)朝刊で紹介されました
南海日日新聞11月3日(火)朝刊の社会面で紹介されました。

目次

村背負い、海眺める 
少年に刻まれた「神降り」
「海の向こう」への憧憬
函館─鹿児島を結ぶ幕末史
「義は西郷隆盛にあり」
ロシア語漬けの寄宿舎生活
内村鑑三に傾倒した記念
双方向のジャーナリズム
新しい翻訳文体の模索
「道の島」ゆえの空白
近代日本の底流に脅威論
日露に共通する不安感
トルストイ「非戦論」の衝撃
手にマメのない奴は…
文学を捨て「民衆の中へ」
二重写しのロシアと奄美
時代への好奇心と観察眼
上代文化の生きた宝庫
明治維新をつくった黒糖
書かれざる生活記録
戦争協力への抑止力として
消えた数千冊の蔵書
哀切な「シマウタ」のように
命をかけた復帰運動
『大奄美史』のための旅路
明日のための原郷

思い出の記 昇 藤子
跋 長縄光男
昇 曙夢 略年譜
参考文献
あとがき