すべての存在が抱える悲しみに対する深い愛情と憐憫

満ち潮の時間

「詩集 満ち潮の時間」
밀물의 시간
ト・ジョンファン 著
ユン・ヨンシュク 田島安江 編訳

四六、並製、256ページ
定価:本体2,000円+税
ISBN978-4-86385-285-3 C0098

装幀 宮島亜紀
装画 重藤裕子

ト・ジョンファンの詩は、おのずと、すべての存在が抱える悲しみに対する深い愛情と憐憫で構成されている
――ユ・ソンホ(文芸評論家、解説より)

2017年、韓国・文在寅政権で文化体育観光部長官に就任した詩人ト・ジョンファン。韓国を代表する詩人は、いかなる詩を紡いできたか。その全体像が見わたせる、主要作品を網羅した決定版アンソロジー。東日本大震災について書かれ、日本で朗読された詩「ノーモアフクシマ(津島佑子さんへ)」も収録。

2017年11月中旬全国書店にて発売。

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著者プロフィール

都 鍾 煥(ト・ジョンファン)
1954年忠淸北道 淸州で生まれる。
1985年初詩集『コドゥミ村で』(創作と批評社)刊行。
1989年全国教職員労働組合の結成に参加したことで、免職、投獄される。詩集『たとえ今は君たちのそばを離れても』(大3文学社)を刊行。申東曄創作賞受賞。
1993年『あなたはどなたなのですか』(創作と批評社)刊行。
1994年『人間の村に花が散る』(文学ドンネ)刊行。
1997年第7回民族芸術賞受賞。
1998年詩集『柔らかな直線』(創作と批評社)刊行。散文集『あの時、そのトカゲはどんな表情をしたのだろうか』(四季節)刊行。
2000年教育エッセイ『最後にまた、もう一度許す心』(四季節)刊行。散文集『カリン』(セムト)刊行。
2002年詩集『悲しみの根』(実践文学社)刊行。童話『海の硝子』(現代文学ブックス)刊行。
2004年散文集『人はみな花である』(チヨウンセンガク)刊行。
2006年詩集『海印へ行く道』(文学トンネ)刊行。今年の芸術賞(文学部門)受賞。現代忠北芸術賞(文学部門)受賞。世界を明るくした100人に選ばれる。2007年童話『こんにちは、樹木さま』(ナムセンガク)刊行。詩画選集『揺れずに咲く花がどこにあろうか』刊行。
2008年(社)韓国作家会議の事務総長に就任。散文集『あなた、いつ頃この森に来られますか』(チヨウンセンガク)刊行。童詩集『より驚いたのはだれ?』(実践文学社)刊行。
2009年鄭芝溶文学賞受賞 
2010年散文集『心の休止符』(プレシアンブック)刊行。尹東柱文学賞受賞
2011年詩集『3時から5時の間』(創批)刊行。白石文学賞受賞。散文集『花は雨に濡れても香りは濡れない』刊行。
2012年民衆統合党比例代表国会議員になる。空超文学賞受賞。散文集『君なしに、どうして僕に香りがあるだろうか』(文学の文学)刊行。『都鍾煥の吳章煥の詩深読み』(実践文学社)刊行。
2014年詩集『満ち潮の時間』(実践文学社)刊行。
2014年辛夕汀文学賞
2017年カソリック文学賞、龍兒・朴龍喆文學賞。文化体育観光部長官に就任。

編訳者プロフィール

尹 英 淑(ユン・ヨンシュク)
1953年韓国生まれ。韓国の釜山で日本語講師、日韓同時通訳をつとめ、2003年から埼玉県に在住。共訳に『長崎パパ』( ク・ヒョソ著・クオン)、『さびしさに、まけないで』( カン・セヒョン著・PHP)、韓国での出版で『現代快速日本語』全九巻などがある。

田島 安江(たじま・やすえ)
1945年大分県生まれ。福岡市在住。書肆侃侃房代表。
既刊詩集『金ピカの鍋で雲を煮る』(花神社1985)
    『水の家』(書肆侃侃房1992)
    『博多湾に霧の出る日は、』(書肆侃侃房2002)
    『トカゲの人』(書肆侃侃房2006)
    『遠いサバンナ』(書肆侃侃房2013)
編訳詩集 劉暁波『牢屋の鼠』(書肆侃侃房2014)
詩誌「侃侃」同人「something」編集人

揺れながら花は咲く
 
揺れずに咲く花なぞどこにあるだろう
この世のどんなに美しい花も
みんな揺れながら花を咲かせ
揺れながら茎をまっすぐに育てるのだ
揺れずに深まる愛がどこにあるだろう
 
雨に打たれずに咲く花がどこにあるだろう
この世のどんなに華やかで美しい花も
みんな雨に濡れながら咲き
雨風に打たれながらも温かい心の花びらをひらかせる
打たれずに歩める人生などどこにあるだろう

関連書籍

『詩集 そしてまた霧がかかった』
『詩集 あなたという記号』
『小さく、低く、ゆっくりと』
『詩集 牢屋の鼠』