つるぴっか
父が人間ドックの結果を聞きに行った。若干の検査は勧められたらしいが、ほぼ健康であるという結論だったらしい。よかったよかった。父もそれなりの年であるが、白髪ひとつ無い。そう、実家の父はずばり、つるつるぴかぴかなのである。
もう薄くなってからはかなり長いが、一応みな大人なのであえてそのことにつっこむことは無かった。
薄さが目立ち始めた頃、円形脱毛症にもなった。よくストレスから来るものだと言われるが、父は同じストレスから来るなら、胃が痛くなるよりハゲる方がマシだと言い放った。ぽちと同じくくいしんぼうの父らしい発言である。
一時は父も医者に通ったりなどしたが、まもなくやめた。理由を聞いたところ、注射が相当痛かったのだそうだ。そして、もうひとつ。担当医がつるっぱげだったのだ。
「ところで先生、ハゲにハゲが治せるのかねぇ?」と病院で言ったそうだ。診察室から看護師さんが隣の部屋へすっと消えた次の瞬間、爆笑が聞こえてきたらしい。
父のハゲなど見慣れて、特にコメントする気もなくなっていた頃、元気一杯の幼稚園児だった甥が言った。

「つるぴっか!!!!!」
一瞬、辺りは静かになった。容赦の無い一言。
が、我に返った父が容認の姿勢を見せたことで凍りついた空気はとけた。「ハゲ」とか「ツルツル」とかではなく「つるぴっか」な所に愛を感じたのかもしれない。
小学校5年生になった甥は今も普段はじじりんと呼ぶ父を、愛を込めてつるぴっかと呼ぶことがある。そう、かまってほしい時に。
2007-10-29 16:51 by pochi
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