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November 2009

落語の中の算術

 桂三枝師匠の創作落語「宿題」には「つるかめ算」などが登場します。師匠の創作の凄いのは、話の中で「つるかめ算」の解法が見事に(しかも面白おかしく)説明されていることです。
 『やわらか頭「江戸脳」を作る和算ドリル』によると「つるかめ算」のルーツは、中国にまでさかのぼることなるようです。
 そういえば古典落語にも「壷算」という演目がありました。一坪だけ買える代金で二坪買えてしまうという不思議な算術が登場します。どうすれば、こんな無茶な計算が成り立つのでしょうか?
 落語の中にも算術(和算)の教養が充分に入り込んでいたのかもしれません。
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ゲーム「源氏香」もあるよ

 計算ではないのですが、江戸時代のお遊びに「源氏香」というものもあります。
 五本の香に順番に火をつけ、同じ匂いのもの当てるというものですが、答えるときに「夕顔」「若紫」などのように「源氏物語」の帖名で解答を示すのです(例えば五本とも同じ香りがしたときは五十三帖「手習」というように)。
 五本の香の答えの組み合わせは、五十六になるそうで、ちょうど「源氏物語」の総帖数より二つ少なくなります。どうやって計算したのでしょうか?
 ちなみに神戸そごうにも入っている「源氏物語ゆかりあられ」を発売している「京都宇治式部郷」のマークは、この「源氏香(浮船)」をかたどったものです。
やわらか頭「江戸脳」をつくる和算ドリル (講談社+α新書)

小町算とは?

 江戸時代に生まれた数学パズルに「小町算」というものがあります。これは吉田光由の『塵劫記』という書物に記されています(江戸時代のベストセラーだそうです)。
 例えば、1+2+3+4+5+6+7+8×9=100のように1から9まで並んだ数を加減乗除して、ちょうど100にするという遊びです。
 これは謡曲「卒塔婆小町」の中の「一夜二夜三夜四夜。七夜八夜九夜、十夜の明の節会にも、九十九夜になりたり」という詞章に由来してます。
 合わせて162通りの答えがあるそうなんですが、現代数学では、如何にしてその組み合わせを計算して割り出すことができるのでしょうか。
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七小町とは?

 また謡曲には七小町といわれる作品があります。
 関寺小町・鸚鵡小町・卒都婆小町・通小町・草子洗小町
雨乞小町(高安小町)・清水小町の七つです。
 廃曲になっている作品もあります。もともとは七作品以上あったそうです。
 何故この七つだけが残ったのか。
 これまた一つの謎です。
 小野小町は舞う―古典文学・芸能に遊ぶ妖蝶

「卒都婆小町」の「九十九」

 11月7日(土)は、大槻能楽堂の「照の会」でした。
 上田拓司さんがシテ方をつとめる「卒都婆小町」を拝見しました。
 深草の少将は小野小町に命じられ百日間彼女の許に通います。が、九十九夜めに
根尽きて死んでしまいます。九十九歳になった小町。彼女は深草の少将の霊が取り憑いたかのように狂乱します。ここで「九十九」という数に符牒が合わせられているのには、どんな意味があるのでしょうか。
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新シリーズ;日本古典のプチ・ミステリー開始

 本日より新シリーズを開始いたします。
 日本の古典作品。文芸や芸能に関して素朴に疑問に思ったことを書き続けていきたいと考えています。
 そのうちに古典作品に対する新解釈が生まれるかもしれません。
こんなにも面白い日本の古典 (角川ソフィア文庫)

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