書籍

『メビウスの鎖』 桜木幹

ユニヴェール17
『歌集 メビウスの鎖』
桜木幹


四六判/並製/144 ページ
定価:本体1900 円+ 税
ISBN978-4-86385-502-1 C0092
装画:長縄智子(漫画家)
2022年2月上旬全国書店にて発売

夜空から失せたる星の数だけのさびしい子どもが今宵も眠る

医療者であると同時に妻であり母であることは
常にどちらかに大きくベクトルが振れるということ。
戸惑いと葛藤。歌に喜びと苦しみが同時にやってくる。

【自選5首】
懐妊を医局へ届け出でたればため息まじりの祝福を受く
開始前病名、術式唱えたりミサを行う神父のように
浴室にいるときのみが携帯を離すときなり待機の医師の
「早く早く」何度も子らを急き立てて空もみないで眠りにつけり
歌にして掬えどすぐに新しき憂いがつもる我の心は


【著者プロフィール】
桜木幹(さくらぎ・みき)
2002年作歌開始。2005年ポトナム入会、故沢田英史および荒木則子に師事。2006年ポトナム論説賞、2017年ポトナム白楊賞受賞。第51回短歌研究新人賞最終候補。二男一女を育てながら働く耳鼻咽喉科医師。

ユニヴェール
新鋭短歌シリーズ、現代歌人シリーズが生まれ、
短歌世界は思いもかけない方向にひろがりをみせている。
そして今、新しいレーベルが生みだされる。

ユニヴェールとは、短歌の壮大な宇宙。
これからもきっと、新しい歌人との出会いが待っているにちがいない。