書籍

『鴉と戦争』朽木祐

ユニヴェール12
『鴉と戦争』
朽木祐

四六判変形、並製、144ページ 
定価:本体1,900円+税
ISBN 978-4-86385-385-0 C0092

装幀 毛利一枝


戦争がけふの未明に始まつた。ふはと鴉の羽根降りかかる

二〇一〇年に歌を作り始めた。わたしとして最初の歌集となる本書には、概ね二〇一三年以降に歌誌『未来』及び別人誌「扉のない鍵」で発表したものを採録し、編集した。制作の途上、その十年に満たない間のわたし自身の作品の変遷が狂騒めいたものにも見えた。形式に拠ることは盲従ではない、そのことをもう一度言はなくてはならないのかとも思つた。創作者が確執すべき本質が現れる道は一つではないにせよ、その道のいづれかをわたしは通つてきたと言へるだらうか。〈謝辞より〉

2019年12月全国書店で発売。

 

【5首選】

売りに出す本の栞を剥ぎ取つてさあさやうならユニコーンたち
パンプスに足を差し込み行くから と朝のをわりを告げる妹
隠喩つて此処つてときに裂けるから手の中の蝶をもう、放せよ
ああ、あいつ桜だつたよ火の消えた煙草を風に崩されてゐる
雨が止み鴉の羽音 死のあとに羽根のひとひら降るのだらうか

 

ユニヴェール

新鋭短歌シリーズ、現代歌人シリーズが生まれ、
短歌世界は思いもかけない方向にひろがりをみせている。
そして今、新しいレーベルが生みだされる。

ユニヴェールとは、短歌の壮大な宇宙。
これからもきっと、新しい歌人との出会いが待っているにちがいない。
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